Smabat M3

こんにちは。今回は 「Smabat M3」です。「Smabat」(スメイバ)のイヤホンは定番イントラコンカ(インナーイヤー型)ブランドのひとつとして、過去にもいくつかのモデルを取りあげてきましたが、新モデルは既存モデルのモジュール構造を踏襲しつつ、20ドル前後の低価格を実現しています。同社の特徴である背面の音響構造なども踏襲しており、低価格ながら魅力的な製品に仕上がっています。

■ 製品概要と購入方法について

Smabat M3」はインナーイヤー型で評価の高いイヤホンを数多くリリースしている「Smabat」(スメイバ)が新たに展開する「Little Bat Technology」によるエントリーグレードの製品です。過去に同社から「M3 Pro」というモデルを販売していましたが全く新設計でモジュラー型のデザインを採用しています。

Smabat M3」では高剛性と軽量性を兼ね備えた14.2インチLCP振動板ダイナミックドライバー搭載。ポップスなどのボーカル曲ではクリアなボーカルと豊かなディテールを提供し表現力を高め、クラシックなどの演奏曲では楽器本来の音色とダイナミックレンジを 余すことなく表現し、繊細でリアルな音質を実現します。
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Smabat M3」はシングルチャンネル共振チューニング技術を採用しており、高域と低域のパフォーマンスを最適化し、よりクリアでリアル、そして精細なサウンドを実現します。この技術は、再生時の周波数応答に応じてキャビティ内の空気圧減衰を動的に最適化。より正確な定位性をもった音場表現を実現します。また「Smabat」製イヤホンの特徴であるバックロードホーンスピーカーのようなキャビティ内のアコースティックローパスフィルターにより低域の深さと弾力性を向上させます。さらにヘッドホンユニットとリアキャビティの設計を最適化することで、非線形 歪みを低減し、全体的な音質を向上させます。
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Smabat M3」のデザインは、宇宙船の帰還カプセルのような流線型を採用しており、シンプルながら流麗なデザインが特徴です。優れた装着性とサウンドによりユーザーに非常に快適なリスニング体験を提供します。また金属製の本体はモジュラー型の構造を採用しており、シリコン製コネクタで密閉性を確保しています。またモジュールコネクタには高品質なゴールドメッキを採用し劣化を抑えた音質を実現しています。
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Smabat M3」の価格はケーブル付きが24ドル、本体のみが22ドルです。
購入はAliExpressなどの主要セラーにて。

AliExpress(Sweet Audio Store): Smabat M3


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Sweet Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

Smabat M3」のパッケージは黒地のシンプルなデザイン。外箱の中にさらにイヤホン本体とケーブルを収容した2つの箱がはいっています。本体部分のみのバラ売りもしているようですね。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル(MMCX仕様)、スポンジイヤーパッド1ペア。イヤーパッドは本体が収容されているスポンジの裏面に入っています。
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本体はアルミニウム合金製で円筒形のシンプルなデザインが特徴的です。非常に軽量で、14.2mmの大口径ドライバーを搭載しつつ装着部分もコンパクトにまとめられています。軽量なため耳から落ちること無く装着できます。
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なお本体側は両側とも同じ形状で左右の区別はありません。コネクタ部分にはMMCXを採用しており付属ケーブルのほかリケーブルが可能です。
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そして「Smabat M3」の特徴であるモジュール構造によりドライバー部分を取り外すが可能です。取り付けはネジ止め式になっていて本体側の内面奥にはシリコン製のリングが埋め込まれしっかり密閉して固定ができるように鳴っています。またドライバーがわ背面部は極性による金メッキの接触部分がリンク状になっており、取り付け時に同じく金メッキによるピン状の部分と接触することで通電するようになっています。モジュール構造自体は「M4」や「M5」など過去のドライバー交換式の製品と互換性(?)もあるようですが、モジュールとしての販売を現在はしていないため、このようなギミックをもっている、という感じですね。
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ケーブルはシルバーカラーの撚り線タイプで被膜により若干黄色みがかってみえます。プラグ等の部品は本体同様にアルミ製。コネクタはMMCXを採用しています。


■ サウンドインプレッション

Smabat M3」の音質傾向はV字寄りのバランスでイントラコンカらしい空間表現を持ちつつ、Smabatらしい適度にブーストされた低域と、14.2mmのLCP振動板が鳴らすキレのある高域が特徴的です。なお、リケーブルによる変化は結構大きめで、情報量の多いケーブルだと中高域の主張が増しバランスが変わることもしばしば。付属ケーブルではいかにもイントラコンカぽい音の傾向ではあるものの、もう少し情報量の多い銅線ケーブルなどを使用するのも良いかなとも感じました。
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またインピーダンス40Ω、感度110dB(±2dB)という仕様ですがイントラコンカとしては結構鳴らしにくい印象もあります。やはりこの辺もリケーブルによって音量も変化します。モジュール型を採用しているSmabat製品自体が「素材」としての売り方をしていることもあり、いろいろ追い込んでみるのも楽しいのではと思います。

Smabat M3高域は付属ケーブルではやや後方に下がる印象になるもののキレのある明瞭な音を鳴らします。刺激はコントロールされているため聴きやすい印象です。
中音域は多少凹みますが(リケーブルで多少印象の変化有り)、比較的癖のない印象でボーカル域も明瞭感があります。解像感や透明感は一般的な印象ですが、キレの良さとスピード感により適度な小気味良さがあります。情報量の多いケーブルでは中高域付近が多少ブーストされバランスが変わる場合があります。
低域は自然な量感があり、中高域同様に比較的タイトな音を鳴らします。14.2mmのドライバーを採用することで力強さがあります。付属ケーブルではミッドベースに多少膨らみがあり、ちょっと籠もり感があるため、気になる方はリケーブルを推奨します。


■ まとめ

Smabat M3というわけで、「Smabat M3」は20ドル程度の低価格ながらアルミ合金製の金属シェルにSmabat特有のモジュール構造を採用しつつ、本体のみのバラ売りや、付属品を徹底的に抑えた「分かる人が買えばいい」という割り切り感など、「中華イヤホンの楽しさ」を改めて感じさせるパッケージングが興味深い製品でした。
シンプルなデザインかつ軽量設計により使いやすさも感じさせつつ、音質面などにエントリーグレード的な要素も感じますが、追い込みにより変化も楽しめそうですし可能性はまだまだある製品かもしれません。低価格ですし興味のある方はとりあえずポチってみるのも良いのでは、と思いますよ。