
こんにちは。今回は 「TWISTURA WOODNOTE」です。独自のウッドドーム複合振動板を採用したダイナミックドライバーを搭載した2万円級のイヤホンです。シンプルで美しいデザイン、充実した付属品と、好みに応じて変更できるフィルターノズルの採用で幅広く楽しめる高音質イヤホンに仕上がっています。
■ 製品概要と購入方法について
「TWISTURA WOODNOTE」は新しオーディオブランド「TWISTURA」によるシングルダイナミックドライバー構成の新モデルです。最大の特徴は独自のウッドドーム複合振動板の採用で、自然でオーガニックなサウンドプロファイルを実現するよう設計されています。さらに「TWISTURA WOODNOTE」は、交換可能なチューニングフィルターにより3種類のサウンドプロファイルを選択することが可能です。
「TWISTURA WOODNOTE」が採用する「ウッドドーム複合振動板」は厳選された天然木繊維をプレス加工技術でドーム形状へ加工し、フレキシブルサスペンションを採用しています。ウッド繊維素材特有の優れた振動特性と柔軟性により生き生きとしたアコースティックサウンドと優れた解像度を実現します。


さらに高性能二重磁気回路によるパワフルな磁束と駆動力を提供し、デュアルチャンバー構造により分割振動を抑制し、位相特性の劣化や歪みを低減します。これらの特徴を持つ10mm ダイナミックドライバーユニットを搭載することで、インパクトのある低音レスポンス、正確な中音域、明瞭な高音域を実現します。
また「TWISTURA WOODNOTE」は交換可能なノズルフィルターを採用し、「Standard」ダークシルバー/ステンレスノズル)、「Instrumental」(シルバー/アルミ合金ノズル)、「Vocal Enhance」(ゴールド/真鍮ノズル)の3種類の異なるサウンドチューニングを選択可能です。


そして「TWISTURA WOODNOTE」のシェルは高精度CNC加工によるアルミニウム合金製で、側面には緻密に設計されたベントにガイディングエアリリース構造を採用。高精度なエアフローによる制御を行い、シェル内外の空気圧バランスを最適化することで、優れた装着感と低音レスポンスの向上が実現します。


ケーブルには無酸素銅(OFC)、合金銅、銀銅合金、グラフェン銅の内部導体で構成されたマルチコア・ハイブリッドケーブルを採用。プラグは3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの交換可能なプラグモジュールを採用しています。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして MUSIN様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージは製品画像によるシンプルなアートデザイン。裏面に仕様等のきさいがあります。


100ドル台、2万円程度と比較的購入しやすい価格帯のイヤホンですが、まずはパッケージ内の付属品の充実ぶりに圧倒されますね。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用プラグ、交換用ノズルフィルターおよび台座、イヤーピース(4種類、それぞれS/M/Lサイズ)、ハードケース。


本体はアルミ合金製のシンプルなデザイン。フェイスプレートに「TWISTURA」ロゴの樹脂パーツがワンポイントで埋め込まれているのがとてもクールですね。シングルダイナミック構成ということもあり、シェルサイズは大きすぎず、耳に収まりやすい形状です。側面のスリット状のベントも特徴的です。


耳にフィットしやすい形状で装着性は良く、金属製のシェルですがしっかりと固定できます。また軟質樹脂製のガイドパーツがフェイス下方に取り付けられており、装着時にこの部分が自然に支える感じフォローしてくれます。コネクタは埋め込みタイプの0.78mm 2pin仕様ですが窪み部分は比較的浅いため、リケーブルはいわゆるCIEM 2pinタイプ以外にも中華2pinタイプでも使えるケーブルも多そうですね。


また3種類の交換式ノズルフィルターに対応。標準はゴールドカラーの真鍮ノズルの「Vocal Enhance」タイプが装着されており、ダークシルバーのステンレススチール製ノズルの「Standard」とシルバーのアルミ合金ノズル、「Instrumental」の3種類が付属。それぞれのノズルは中高域~高域の変化に影響し、多少W字寄りの「Vocal Enhance」ノズルに対し、もっとも高域が控えめでニュートラルバランスな「Standard」と、より高域をブーストした「Instrumental」という変化があるようです。


イヤーピースは通常タイプ、開口部の広いタイプ、軸が柔らかく浅いタイプ、液体シリコンタイプと4種類の異なるタイプが各サイズ同梱されます。好みに応じていろいろ組み合わせる楽しさがありますね。ケーブルは無酸素銅(OFC)、銅合金、銀銅合金、グラフェン銅のハイブリッド構成のミックスケーブルが同梱されます。プラグは3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの交換式です。同価格帯のイヤホンと比較してもかなりしっかりした導線のケーブルで、太さのある2芯タイプです。
■ サウンドインプレッション
「TWISTURA WOODNOTE」の音質傾向は自然なカーブを描く弱ドンシャリ。適度な厚みと温かさを持ちつつ、公開されているf値の印象よりV字方向に生き生きとしたサウンドで、ある程度駆動力のある再生環境で鳴らすことで、より明瞭な印象になります。
ウッドダイヤフラムというとJVCのウッドコーンを思わず想像してしまうのは日本のオタクならしゃーない、という気がしますが(笑)、ウッドドーム複合振動板を採用する「TWISTURA WOODNOTE」のサウンドも、やはり適度な温かみと反応の早さ、そして見通しの良さ、といった特徴は踏襲しているように感じます。いっぽうでサウンドチューニング的には原音忠実性よりリスニング方向の豊かさや楽しさを重視した音作りで、木製のメリットをどう活かすか、という点では独自のアプローチを歩んでいるようです。また、「TWISTURA WOODNOTE」が備える3種類のフィルターは、全体のバランスを維持させつつ中音域および高音域を調整することで自然な変化を与えます。どのフィルターも音質傾向に変化を与えつつ、極端に特定の音域を変えるようなことは無いため、好みに応じて使い分けるのが良いでしょう。
ゴールドカラーで真鍮ノズルの「Vocal Enhance」フィルターは、女性ボーカルの高音など中高域に比較的鮮明なアクセントがあり、ボーカル域が前傾するW字方向の傾向で、さらにシルバーでアルミノズルの「Instrumental」は高域の煌めきが余し、全体的により明るい印象となります。ダークシルバーでステンレスノズルの「Standard」はメーカー資料のf値ほどの変化はかんじなかったものの、中高域から高域を適度に穏やかにすることで弱ドンシャリ方向の傾向を維持しつつよりニュートラルな印象にまとまっています。「TWISTURA WOODNOTE」の高域は、明瞭さとスピード感を持ちつつ、「Vocal Enhance」や「Instrumental」ノズルではより明るく鮮明な印象で再生されます。いっぽうで「Standard」ノズルでは、明るくも暗くも無く、適度に温かみのある自然な伸びやかさでまとまっています。
全体的なサウンドバランスとして、特にウッドドーム複合振動板らしさを基準に考えると「Standard」のチューニングがもっとも自然な印象かな、とも感じました。しかし高域については最近のU字傾向のイヤホンに比べるとやや物足りなく感じるため、より多くのユーザー向けに調整した「Vocal Enhance」や「Instrumental」というフィルターが用意されているのかな、という気がします。前述の通り3種類のフィルターはどれもバランスが取れており、特に不自然さはありませんが、どうして初期段階で装着されているフィルターが「Standard」(標準)ではなく「Vocal Enhance」(ボーカル強調)なのか、という理由をちょっとだけ感じる高域でもありますね。
中音域は適度な温かみと豊かな厚みを持ちつつ、非常にスピード感があり、かつ自然な音像で原音をありのままに再生している印象です。ウッドハウジングの醍醐味というか、他の振動板ではなかなか出せない、敢えて言うなら「オーガニック」なサウンドですね。全体的な定位は自然で、鮮やかさや瑞々しさがありますが、モニター的な印象とは異なり、あくまで強調の無い自然なサウンドを維持しています。また音像は滑らかで適度な温かみがアナログ的な雰囲気も感じさせます。そのため分析的な聴き方には向かず、リスニング方向に特化したサウンドだといえるでしょう。音場は自然な広さですがV字的なレイヤー感が有り、心地よい奥行きを実感出来ます。
印象としてはやはり「Standard」が最も温かみがあり空気感をもっていますが、3種類のフィルターのなかでは少しゆったりした印象もあります。これに対して「Vocal Enhance」や「Instrumental」では中高域の伸びが拡張されており、より軽快さが強調されています。「Vocal Enhance」では若干W字方向に変化しボーカル域が僅かに前傾することで鮮やかさが向上します。そして「Instrumental」では相対的に低域の厚みが控えめに感じますが、ピアノやギター、ブラスなどの輝きが増しより生き生きとしたサウンドを楽しむことができます。
低域はニュートラルバランスで調整されているものの、温かみとエネルギーを持ち、同価格帯のイヤホンの中でもかなり丁寧な音、という印象を受けます。中音域同様にウッド振動板の特徴を感じられる音域で、ミッドベースは暖かく少し柔らかで、輪郭も自然な、多少リラックスした印象もありますが、いっぽうでスピード感があり、音数の多い曲でも籠もること無く表現され、同時に音楽的な豊かさも感じさせます。重低音はエネルギーがあり深く沈みますが、量的にはコントロールされており、自然に全体を下支えする印象。フィルターによって多少アグレッシブに変化する「TWISTURA WOODNOTE」のサウンドですが低域は常にある程度の上品さを維持している印象です。
■ まとめ
というわけで、「TWISTURA WOODNOTE」は2万円程度とミドルグレードの中でも比較的購入しやすい価格帯のイヤホンですが、数少ないウッドドーム複合振動板を採用した製品として非常に興味深い仕上がりを実感しました。音質傾向としてはウッド振動板の特徴を活かしつつ、フィルターによって色々な楽しみ方をできるのがとても魅力的ですね。
ウッドドーム複合振動板の醍醐味を最も楽しみたい場合は「Standard」フィルターにより温かさと豊かさを実感出来ますし、J-POPやアニソンなどの音源でイマドキの音質傾向のリスニングを楽しみたい場合は「Vocal Enhance」、さらに演奏の瑞々しさを実感したい場合は「Instrumental」と、同時に様々な用途で楽しめるサウンドを実現できるチューニングは好感できます。さらに「TWISTURA」から同時期に発売された「TWISTURA RHYMING DUST」ケーブルを組み合わせることで、さらに透明感が向上し、また違った印象のサウンドを楽しむことも可能です。幅広いマニアが楽しめるイヤホンに仕上がっていると感じました。








