TANCHJIM BUNNY DSP

こんにちは。今回は 「TANCHJIM BUNNY DSP」です。3千円台で購入可能ながらリケーブルにも対応する「TANCHJIM」のエントリーモデルですね。リリースされたのは昨年ですが、先日レビューした「Stargate II」と併せて届いています。ケーブルの種類で通常版とDSP版(USB Type-C)がありますが、今回はDSP版での紹介となります。

■ 製品概要と購入方法について

「TANCHJIM」(タンジジム)は2015年に設立された中国のイヤホンメーカーで、科学的な解析やロジックに裏付けられた専門性の高い調整によるニュートラルでバランスのよい音作りとシンプルな製品デザインでファンも多いブランドです。

TANCHJIM BUNNY」はゲーミング用途などを想定した同社の低価格モデルです。PETチタン複合振動板を採用したデュアルチャンバー・ダイナミックドライバーをシングルで搭載。低音レスポンスとボーカルの明瞭度を向上させることで、非常にクリアなオーディオを実現します。またDSPモデルは「TANCHJIM」アプリでの詳細設定が可能で、4種類のEQプリセットモードに加えカスタム設定に対応します。
TANCHJIM BUNNY DSPTANCHJIM BUNNY DSP

TANCHJIM BUNNY」はハイエンドのデュアルマグネティックドライバー技術を応用した低歪みウェーブガイドカバーを採用し明瞭度を大幅に向上。内部キャビティの設計により、高域の減衰を最小限に抑えリニアで非常にクリアな高域を実現します。またPETチタン複合振動板は低音域のレスポンスを向上させ、ボーカルの明瞭度を高めます。広く自然なサウンドステージを生み出し、革新的なアコースティックメイズ構造により低域の深みを増幅し、共鳴性と没入感に溢れるサウンドを実現します。
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またDSPモデルでは44.1kHz、48kHz、96kHzのサンプリングレートに対応するデュアル24ビットDACを搭載し、ハイレゾオーディオ性能を実現します。高性能マイクロアンプとDSP技術により高精度なオーディオ体験を実現します。さらに24ビット/96kHz入力に対応する低ノイズマイクによるクリアな通話も可能です。
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TANCHJIM BUNNY」はアマゾンにて通常版3,500円、DSP版3,800円で販売されています。
Amazon.co.jp(TANCHJIM Official Store): TANCHJIM BUNNY

免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして TANCHJIM より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージは低価格モデル共通のコンパクトサイズのボックスで、本体画像を掲載したシンプルなデザイン。
TANCHJIM BUNNYTANCHJIM BUNNY

パッケージ内容は、イヤホン本体+ケーブル、イヤーピース、布製ポーチ、説明書、保証カード。イヤーピースは2種類で通常の形状のものはS/M/Lの3サイズ、本体にMサイズが装着済みの開口部の大きいタイプはXSを含む4サイズ同梱されます。
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本体は透明なプラスチック製で、シェル形状は以前レビューした金属製シェルの「TANCHJIM 4U」を踏襲しているようです。フェイスプレートはメタルパネルが貼られておりロゴがプリントされています。本体は非常にコンパクトで耳への収まりも良く装着感は良好です。また金属製の「4U」よりかなり軽量なのでより気軽に使える印象ですね。
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ケーブルは無酸素銅銀メッキ線ケーブルで、DSPモデルはType-Cのインターフェースが付属します。どちらも1ボタンタイプのマイク付きケーブルとなります。被膜は適度な弾力がありますが手触りは硬めで絡まりにくく取り回しの良い印象です。
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また他のDSPモデル同様に「TANCHJIM」アプリが利用可能。Android用は現在GooglePlayに無いため、説明書記載のQRコードからパッケージをダウンロードしてインストールします。


■ サウンドインプレッション

TANCHJIM BUNNY DSPTANCHJIM BUNNY」の音質傾向は同社らしいニュートラル傾向に寄せた緩やかなU字傾向です。3.5mmケーブルが付属する通常版はDSP版より滑らかで中低域がより豊かな印象で僅かに温かみを増した印象となり、DSP版はより明瞭でスッキリした印象になります。もちろんイヤホン本体部分に違いは無いため、DSP版はデフォルトの設定でもよりハッキリした印象にチューニングして出力しているのが伺えますね。
どちらのバージョンも刺激を抑え聴きやすい高音にまとめられており、低域は締まりがあり、中音域はニュートラルで定位性は高く、音場を捉えやすい印象があります。そのためハードなゲーム用途のギアとしても十分な実力を発揮することは間違いないでしょう。

リスニング用途で考えてもDSP版はゲーム用と同様にアプリによるチューニング範囲が広く、非常に「遊べる」イヤホンです。また、より再生環境も含めて追い込みたい場合はリケーブルを検討するのも良いでしょう。両方の視点で楽しむことを考えると、DSP版を購入しておく方が便利かもですね。というわけで以降はDSP版(「TANCHJIM BUNNY DSP」)でXPERIA1 IVに接続しての印象となります。

TANCHJIM BUNNY DSPTANCHJIM BUNNY DSP」の高域は、主張はそれほど強くないものの、自然な伸びの良さと明瞭な輝きがあります。長時間のリスニングでも疲れにくい印象です。もちろんDSPモードを変更することでより高域の主張を高めることも可能でそういった場合も低価格ながら同社のコアテクノロジーである「DMT4」を採用するPETドライバーは十分なポテンシャルを発揮します。あらゆるジャンルの曲で自然な印象で過不足無く楽しめる、滑らかで「上品」な高域といえるでしょう。

中音域は癖の無い音色ながらU字傾向によりボーカル域はやや前傾し、明瞭で細かなディテールも自然に描写します。DSP版では特にややミッドセントリック寄りの音作りですが、自然な範疇で、適度にアクセントのある中高域により女性ボーカルは鮮やかで伸びがあり、男性ボーカルは僅かに温かみがあり豊かな印象です。解像感は一般的ながらDSP版はよりスッキリとした印象で分離も向上しており、輪郭も捉えやすく感じます。
音場は自然な広さがあり、定位は正確な印象。オーディオ的な解像感や空間表現とは異なりますが、ゲーミング用途では微細な音で位置を捉えやすく使いやすそうです。

TANCHJIM BUNNY DSP低域は自然な音像で派手さを抑え落ち着いた印象で鳴りますが、分離は良く、ミッドベースは自然な締まりの良さがあり、重低音は深く沈みます。キレの良さやスピード感を感じさせる低音ではなく、輪郭はやや丸みを帯びている印象ですが、過度に膨らんだり籠もったりすることは無く、自然な描写と豊かなエネルギー感で心地よく鳴ります。
ミッドベースは温かみがありつつも直線的でレスポンスは良く、籠もることなく自然な見通しの良さで適度なエネルギーがあります。重低音は非常に深く響き解像感も豊かです。適度な重量感があり、ニュートラルバランスながら全体を心地よく下支えします。


■ まとめ

TANCHJIM BUNNY DSPというわけで、「TANCHJIM BUNNY DSP」は「TANCHJIM」の低価格モデルでもちゃんといい音で再生される、という特徴をしっかり反映しており、同社らしい上品な音作りで、ゲーム用途にもリスニングにも楽しめるイヤホンに仕上がっています。
もちろん、上位モデルのような解像感や1音1音の表現、ニュートラルバランスでの質感などは無く、低価格モデルでの範囲ではあるものの、とにかくバランスの良さに優れており、価格と実用性という視点で、用途に合わせた最適なチューニングが行われているのを実感します。外観もシンプルながら美しく、購入しやすい価格設定も含め、幅広く楽しめるイヤホンだと感じました。