
こんにちは。今回は 「EarAcoustic Audio STA-K」です。2024年に登場以来、一気にラインナップを広げている「EarAcoustic Audio」の50ドル級の新モデルです。強力な磁気回路を持つ2DD構成の「STA」シリーズで、エントリー機の「STA Hi-End」をベースとしつつ、上位モデルに近いデザインの高級感のあるフェイスデザインを採用。さらに透明な樹脂ハウジングや高純度銀メッキ線ケーブル等外観も音質もよりブラッシュアップした仕様になっています。
■ 製品概要と購入方法について
「EarAcoustic Audio」は2024年に中国・深圳の「TFZ」「SUPERTFZ」ブランドを手がける企業が設立したブランド。現在日本国内でも「SPA」シリーズおよび「STA」シリーズのラインナップが販売されていますね。私自身も何機種か個人的に購入していますが、今回新たなモデルの依頼をいただきましたので、そちらを先に紹介することにしました。購入済みモデルも来月あたり依頼が落ち着いたら掲載できるかな、という感じです。
閑話休題、今回の「EarAcoustic Audio STA-K」は同社の「STA」シリーズの新モデルで、中国のイヤホンセラー「KEEPHIFI」とのコラボモデルのような位置づけになるのかな、と思います。「STA」シリーズのデュアルダイナミックドライバー構成を踏襲し、10mm ベリリウムコート振動板 二重磁気回路ダイナミックドライバーと6mm PET振動板ダイナミックドライバーを搭載。ダイヤモンドカットのエレガントなクリスタルフェイスデザインと透明シェルの採用し外観も非常に美しく仕上げられています。


「STA」シリーズは共通の特徴としてテスラレベルのマグネットを採用したデュアルダイナミックドライバー構成を採用。高音域用に6mm ダイナミックドライバー(N50ネオジムシングルマグネット)、中低音域用に10mmダイナミックドライバー(N50ネオジムデュアルマグネット)を採用しており、驚異的な分析力と広大なサウンドステージを実現します。
各ドライバーの振動板には10mmドライバーにはベリリウムコート振動板を採用し、高速な過渡応答とスムーズでバランスの良いサウンドを実現。6mmドライバーにはPET複合振動板を採用し、耳への負担を抑えた自然なサウンドを実現しています。


「EarAcoustic Audio STA-K」のフェイスパネルはダイナモンドカットされた高輝度樹脂パネルを採用し、美しい光沢を持ちます。またハウジングも透明な樹脂製で全体的に軽量化を実現し優れた耐久性も持っています。
ケーブルには0.78mm 2pin仕様の無酸素銅銀メッキ線を採用。滑らかな質感で絡まりにくい処理が施されており、安定した音楽信号伝送を実現しています。


「EarAcoustic Audio STA-K」の価格は49.99ドル、アマゾンでは6,899円です。
Amazon.co.jp(Yinyoo-JP): EarAcoustic Audio STA-K ※10% OFFクーポン配布中
KEEPHIFI(keephifi.com): EarAcoustic Audio STA-K
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして KEEPHIFI より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「EarAcoustic Audio STA-K」のパッケージは、シルバーのボックスで製品名称が記載されたシンプルなデザインですが、既存のSTAシリーズより少しコンパクトなサイズになっています。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書。価格を抑えるため最小限のシンプルな構成になっています。またイヤーピースも各サイズ通常タイプ1種類のみの仕様となっています。


本体は樹脂製(ABS樹脂)のハウジングにフェイスパネルは金属フレーム+樹脂製パネル、金属製ステムノズルの構成。フェイスプレートはダイアモンドカットされた樹脂パネルで光沢を放っており、右側に「STA-K」、左側に「EarAcoustic Audio」と記載されています。他のSTAシリーズのような干支デザイン(蛇)はありません。


2基のダイナミックドライバーを並列で搭載していますがシェルは非常にコンパクトで透明な本体からは内部にびっしりとドライバーが収容されているのが見えます。そのため軽量で装着性も優れています。


ケーブルはホワイトシルバーの銀メッキ線タイプで取り回しは良い印象。外観も既存のSTAシリーズより華やかに見えますね。
■ サウンドインプレッション
「EarAcoustic Audio STA-K」の音質傾向はニュートラル方向で明瞭感のある弱ドンシャリ。全体的にはやや寒色系でスピード感のある印象ながら、ボーカル域は多少前傾し僅かな温かみもあるU字傾向のバランスで心地よいリスニングサウンドに仕上げられています。数年前から多くなっているサイズの異なる2DD構成で音域を分担する構成の場合、低域は結構強めでチューニングされることも多いですが、「EarAcoustic Audio STA」シリーズでは低域は基本的にニュートラル方向のバランスで調整されている印象で、グレードによって質感の違いを感じさせる印象です。「EarAcoustic Audio STA-K」については「STA Hi-End」同様にベリリウムコート振動板ドライバーと樹脂シェルの組み合わせで、過度の響きを抑え適度な温かみを持ちつつタイトで締まりのあるサウンドが特徴的ですね。
また「EarAcoustic Audio STA」シリーズでは高域を6mmドライバーで調整することで10mmドライバーの設計上の自由度は格段に向上しており、振動板の違いによるグレード変更とともに、比較的低コストでサウンドチューニングを高めることに成功しています。またより駆動しやすく、さまざまな再生環境で使いやすい製品に仕上げられています。「EarAcoustic Audio STA-K」の高域はPET複合振動板により比較的柔らかく自然な音を鳴らします。それでも全体的な寒色寄りの傾向にあわせて調整されており、聴きやすさと同時に明瞭感や適度な鋭さも感じさせる高音です。解像感や透明感はそこまで高い印象ではありませんが、シンバル音や超高域の伸び感など6mmドライバーは要所を押さえたチューニングが行われており、全体のバランスとしては過不足無く自然にまとまっている印象です。
中音域はU字寄りのチューニングのため、かつてのTFZのようにがっつりとしたドンシャリ傾向にはならず、ボーカル域がやや前傾するニュートラルな印象で再生されます。ベリリウムコート振動板の特徴を上手く反映しており、響きを抑えつつも多少鳴らしにくいはずの振動板を強力な磁気回路で駆動させることで派手さをおさえつつもエネルギーがあり、タイトな描写で解像感を高めるチューニングが行われています。過渡応答が早く粒立ちの良い音を作りやすいベリリウムコートの場合、共鳴を抑えたコンパクトな樹脂シェルでも音が緩くなることはないため、結果として寒色系の明瞭なサウンドを比較的低コストで実現しているようですね。女性ボーカルやピアノの高音はやや前傾して伸びのある音を鳴らし、男性ボーカルはタイトですが薄くならず低度な厚みをもって再生されます。演奏との分離も良く音場も自然な広さがある印象で、定位も比較的正確です。余韻などは少ないものの、ある程度の分析的なリスニングにも対応出来る印象です。
低域は量的にはニュートラルなバランスですが、適度に力強くエネルギーがある音を鳴らします。中音域とは対照的に樹脂シェルであることもあり、タイトさや解像感といった要素は金属シェルと併せてチューニングされた振動板を採用する上位モデルのほうが高くなりますが、ベリリウムコートによる響きを抑えた直線的な印象とスピード感により、心地よいキレの良さを感じさせる音で全体としてはミッドベースを中心に不足無く鳴ってくれる印象。重低音は重さや響きは控えめですが深く沈み、エネルギーを持ちつつも分離の良さを感じさせる鳴り方をします。■ まとめ
というわけで、「EarAcoustic Audio STA-K」の印象ですが、デザイン、使いやすさ、音質、そして価格といったすべての要素のバランスが「絶妙」なイヤホンだと感じました。当然、50ドル以下で販売するためには、それに見合ったコスト制限があるわけですは、その範囲内でのリソースの振り分けが非常に上手く、落としどころを完全に心得ていて無駄なところが全く無い製品だと思います。もちろん、ひとつひとつの要素を考慮すればアップグレードできる余地は存在し、実際それらを考慮した上位モデルを「EarAcoustic Audio」自身がリリースしていますが、「EarAcoustic Audio STA-K」の製品としてのバランスは非常に良く、外観および総合的なバランスという点では同様の振動板を採用してる「STA Hi-End」よりさらに洗練されている印象もありますね。
もともと市場で最初に二重磁気回路、デュアルチャンバー構造を普及させた実績を持つTFZの会社ですので、様々なダイナミックドライバーの開発についての実績や知見は相当に高いはずで、2DD構成のベース仕様で振動板の変更とシェルデザインやチューニングでグレードを調整していく「EarAcoustic Audio」のアプローチも、TFZ時代の経験を反映しているようにも感じます。そういった経験値の高さや手堅さを洗練された外観の中でも感じるのも「EarAcoustic Audio STA-K」の魅力のひとつかもしれませんね(^^)。








