AFUL DAWN-X

こんにちは。今回は 「AFUL DAWN-X」です。4EST+8BA+1DD+1BCによる片側14基のドライバーユニットを搭載し、約1,300ドル、国内では税込19万円超という、AFULの最強フラグシップモデルです。

※発売開始前より依頼をいただいておりましたが、私の体調不良(およびそれに伴う耳の不調)のため、全てのレビュー掲載を延期しており、このタイミングとなりました。体調のほうはまだ万全ではありませんが少しずつ復帰していく予定です。

■ 製品概要と購入方法について

AFUL Acoustics」は現在ではマニアの間で人気ブランドのひとつとして認知されている、中国の新進気鋭のポータブルオーディオのブランドで、これまでにリリースされた製品はすべて数々の独自特許技術に裏付けられた質の高いサウンドにより高い評価を受けています。

今回の「AFUL DAWN-X」は4EST+8BA+1DD+1BCの片側14基のクアッドブリッド構成によるAFULのフラグシップIEM製品です。各ドライバーの性能を最大限に引き出すためAFULの独自技術を多数投入しています。またその外観は「夜が明け、最初の光が地平を金色に染める瞬間」から着想を製品コンセプトを踏まえたデザインを備えています。
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AFUL DAWN-X」はドライバー構成に低域用のダイナミックドライバー、主にミッドレンジを担当する8基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバー、高域および超高域用の4基のEST(静電)ドライバー、そして中音域から中高域を下支えする骨伝導ユニットによる1DD+8BA+4EST+1BCの片側14基のクアッドブリッドを採用。

AFUL DAWN-Xこれらの各ドライバーの特性をもとにして「AFUL DAWN-X」では、緻密な計算と継続的な実験調整によって複雑な音響構造を設計。これは「3Dマイクロ共振アコースティック・パス」と呼ばれ、独自の設計によりドライバー間の繋がりをシームレスにし、マルチドライバー歪みの極小化しています。

また「ワイドバンドESTテクノロジー」により、多くのEST搭載IEMが9kHz以上のみで動作するのに対し、DAWN-Xは約5kHz〜20kHz超の広帯域でESTを有効化。微細なディテールと滑らかな伸びを両立させることを目指しています。ESTを約5kHzの高域から有効帯域を確保することで、超高域の情報量だけでなく、シルキーでストレスのない質感を目指しています。

AFUL DAWN-Xさらに「AFUL DAWN-X」では同社の独自クロスオーバー技術である「RLC ネットワーク周波数分割補正技術」に加え、電子6Way+物理6Wayを組み合わせた独自の「多次元クロスオーバー技術」により各ドライバーへ厳密に帯域を割り当てることを可能にしています。

また「Performer 8」で導入した「高減衰空気圧バランスシステム」も継承。さらにAFUL製品の特徴のひとつとなっている「RLC ネットワーク周波数分割補正技術」により特に高域での固有共振によるピークを抑制し、スムーズで解像度に優れたサウンドを提供します。

シェルデザインにおいては、スタビライズド・ウッドのフェイスプレートを採用し、個体ごとに異なる木目の表情を楽しむことができます。シェルサイズは大型化したものの人間工学に基づく形状で快適な装着を追求しています。ケーブルは6N 単結晶銅のリッツ編組(8芯 3Dブレイド構造、複合導体コア)で、内抵抗と損失を低減。0.78mm 2pinコネクタで、プラグは4.4mmバランスまた3.5mmが選択可能です。
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AFUL DAWN-X」の価格は1,299.99ドル。日本国内では191,980円(税込み)で販売されています。

HiFiGo(hifigo.com): AFUL DAWN-X


AliExpress(HiFiGo): AFUL DAWN-X


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Aful Acoustics より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

今回はAFULから「AFUL DAWN-X」の4.4mmモデルが届きました。パッケージは製品画像のシンプルなデザインで、フラグシップということもあり「Cantor」と同様の大めのボックスとなっています。
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AFUL DAWN-X」のパッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(4種類、S/M/Lサイズ)、クリーニングブラシ、ハードケース、説明書など。「Cantor」同様に大きさのあるケースが付属するため、リケーブル時や、オーディオアダプター等を一緒に収容するなど余裕を持って使えるのが有り難いですね。
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フラグシップモデルかつ多様なドライバーを片側14基搭載する「AFUL DAWN-X」はこれまでのAFUL製品の中でも最大サイズのシェルを採用しています。スタビライズウッドの赤いフェイスプレートが印象的なシェルデザインです。
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実際に比較してみると「AFUL DAWN-X」の大きさは8BA+1DDの「Performer 8」や14BAの「Cantor」より一目瞭然で大きく見えます。
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それでも「AFUL DAWN-X」はステムノズルが長く、イヤーピースを調整すればしっかり耳奥まで装着することができるため実際の装着感はまずまず良好です。多くの方の場合しっかりとフィットさせることができると思います。
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私は耳穴が極端に細いのですがXSタイプのイヤーピースを用意することで対応出来ました。ただ耳そのものが小さい方はサイズ的に入りきらない可能性もありますので、骨伝導ユニットがあるステムノズル直下の部分を確実に耳にフィットできるように装着する必要があります。

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付属のケーブルは降順その6N単結晶銅線の8芯ケーブルでしっかりとした太さのある導体が使用されています。クロームメッキ処理されたプラグやコネクタ等の金属部品も重量感があり質の高さを感じます。イヤーピースも4種類のタイプが各サイズ付属します。


■ サウンドインプレッション

AFUL DAWN-XAFUL DAWN-X」の音質傾向はU字寄りながらフラット方向に近いバランスで、基本的には「Cantor」や「Performer 8」などこれまでのAFUL製品の音質傾向を踏襲しています。同時に4EST+8BA+1DD+1BCのドライバー構成の特徴を活かした音作りが行われており、ニュートラルバランスを基調に「フラッグシップらしさ」を感じる伸びの良さと異なる種類のマルチドライバーによって得られるスケール感を加えた印象。AFULらしいハイブリッドを超えた一体感と同時に個々のドライバーの個性が絶妙に両立しているのがとても興味深いところです。
実は6月頃にテスト版をお借りして聴いていますが、今回の製品版はより癖は強くなったものの各ドライバーの個性を活かしつつAFULらしい一体感もあるサウンドでより「深化」している印象でしたね。

なかでも印象的なのはEST(静電ドライバー)とBC(骨伝導ユニット)の使い方で、「AFUL DAWN-X」の特徴を決定づけるものになっています。
AFUL DAWN-Xまず5kHz付近からESTを鳴らす「Wideband EST」技術により4EST構成による質感を維持しつつ存在感を強調。ESTらしい伸びやかとスムーズな抜けの良さを感じさせつつ、微細な空気感まで描写してくれる印象です。また中音域は滑らかで、歯擦音や刺さりを抑えつつ艶感のある滑らかさと情報量の多い密度感を両立しています。
またBC(骨伝導ユニット)はAFULの資料によると500Hz~3kHzの中音域~中高域に作用します。多くのBC搭載製品のように低域を下支えするというよりESTによる見通しの良さに対して中音域までの奥行きや深さのようさ空間的な厚みと「実在感」を与えているようです。

なお、「AFUL DAWN-X」はインピーダンス15Ω、感度101dB/mWと感度は高めで鳴らしやすく感じますが、片側14基、双方で28基ものドライバーをしっかり稼働させるためには高い駆動力(出力では無く、電流の安定した高い流量)が求められ、S/Nが高く質の高い出力回路を搭載したDAPやアンプの利用が望ましいでしょう。再生環境には結構敏感で違いが出やすい製品ともいえるため、試聴の際はそれなりに意識する必要もありそうです。

AFUL DAWN-XAFUL DAWN-X」の高域は、4ESTによる滑らかで直線的な伸びの良さと解像感を持ちつつ、空気感のある空間表現を持っているのが印象的、超高域だけではなく、より可聴域として認識しやすい5kHz以上の音域でもESTを使用する「Wideband EST」技術の実装により、シンバルの倍音などの抜け感が増すなど、伸びやかさと、微細な音を感じやすい空気感があるのが印象的です。いっぽうで2EST機などでよく感じられるESTらしいわざとらしさみたいな印象は無く、高域の減衰や残響など自然な印象で情報量があり高い解像感を持ちつつ滑らかさがあります。歯擦音などの刺激はコントロールされていますが、音源や再生環境などにも若干の影響はあります。

中音域は凹むことなく鳴りボーカル域は若干前傾するものの前に出るという印象では無く、フラット方向のバランスで再生されます。優れた解像感と見通しの良さを持っており、ボーカル域および演奏の音像は明瞭さがあります。女性ボーカルは伸びやかで、男性ボーカルは適度な厚みと適度な艶感があり、質感も上品な印象。
AFUL DAWN-X音場は横幅および奥行きとも広く透明で余裕のある立体的な空間表現があります。そのなまで演奏も適切に分離し、ストリングスやピアノも表情豊かで音数が多くても自然なレイヤー感で再生されます。
さらに「AFUL DAWN-X」ではESTによる上方向の空気感とBC(骨伝導ユニット)による下支えにより、より音像表現に「濃さ」のある印象で全体的にリッチな印象に感じられます。つまり「AFUL DAWN-X」の複雑なドライバー構成だからこそ再現できるサウンドというわけです。
そのため、いわゆるモニター的や無味無臭的な傾向を持つ製品に対して、分かりやすいリスニング方向の「演出」でもあるため、このサウンドを好感するかどうかが「AFUL DAWN-X」の価格的な妥当性を判断する要素ともなるでしょう。また濃さを感じるサウンドながら前述の通り空間は広く分離も良いため音数が多くても音像が崩れること無く自然に表現されます。

AFUL DAWN-X低域は締まりの良いタイトな印象ですが、重低音まで伸びは良く、十分な存在感があります。一般的に特にV字傾向のイヤホンでは低域の厚みを持つことで空間表現を下支えしますが、「AFUL DAWN-X」ではBC(骨伝導ユニット)によって中音域付近で豊かな音場感を演出しているため、(BCの恩恵を得られるように)しっかりと装着位置を合せれば低域もニュートラルベースで十分な量感を持っていると感じるのではと思います。
ミッドベースはタイトで締まりが良く、過度に膨らむこと無く直線的な伸びの良さがあります。重低音は深く沈み太さとともにタイトさがあります。また「高減衰空気圧バランスシステム」の恩恵もあってか低域全体で過剰な圧迫感も無く自然なスピード感で見通しの良さを維持しています。


■ まとめ

AFUL DAWN-Xというわけで、「AFUL DAWN-X」は4EST+8BA+1DD+1BCという非常に複雑なドライバー構成を持ちつつ、特に拡張された4ESTとBCはニュートラルサウンドながら自然な空間的な余裕と存在感のあるサウンドを両立し、独特のリスニング体験得られる製品に仕上げられていました。広いダイナミックレンジと音場感に締まりのある低域により、「AFULらしさ」を最大限に進化させた印象ですね。
ただしハイエンドらしく再生環境にはそれなりに選びますし、装着性のうえでイヤーピースなどの影響も大きいようです。必要に応じてリケーブルなども含め最適な環境に調整する必要もあるかもしれませんね。もっとも業務用品(プロ用)でなく10万円を超えるイヤホンというのは、それ自体が相当のマニア向けで、「好み」や「相性」という点でも万人向けということは有り得ないと考えます。逆に言えばこの価格を出しても価値を感じられる方にとっては唯一無二の存在となる可能性があります。そういった意味で「AFUL DAWN-X」は確かにニュートラルサウンド傾向ではありますが、相応に「価格の理由を実感出来る」癖も感じるサウンドで、やはりハイエンド製品らしいイヤホンだと感じました。ちなみに、私はもちろん、かなり好みのサウンドです(^^)。