CVJ Vivian
こんにちは。今回は 「CVJ Vivian」です。CVJのお家芸になりつつあるキャラ絵デザインのイヤホンの新モデルです。今回は背景をエンボス加工されたプレートにデザインをプリントしさらに陽酸化処理でコーティングするというまた新たな手法が採用されており、実際製品を手に取ると思った以上にちゃんとした質感に驚くと思います。音質面はニュートラルベースに重低音を中心に圧倒的なブーストを行っており、非常に楽しい、だけどちゃんとまとまっているサウンドに仕上がっています。

■ 製品概要と購入方法について

「CVJ」は2019年に誕生した中華イヤホンのブランドで、個性的な低価格イヤホンを中心に存在感を増している印象があります。中国国内のブランドサイトをみると自社工場を中心とした製造メーカーであることがわかります。現在は同社の「いろいろ攻めた製品」がより際立っている印象もありますね。

CVJ Vivian」は10mmデュアルマグネティックダイナミックドライバーをシングルで搭載する低価格モデル。フェイスプレートの3Dデジタルレリーフコーティングによる立体的なデザインと、フロントキャビティ内の気流を最適化する高品質の音響ダンピングフォームと高精度チューニングメッシュを採用するなど低価格ながらこだわりのある仕様が特徴的です。
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CVJ Vivian」の内部で高品質の音響ダンピングフォームと高精度チューニングメッシュを統合することでフロントキャビティ内の気流をより最適化。高域の刺さりを効果的に抑えつつ低域を強化し、クリーンで滑らかなボーカル、量感がありながら制御された低域、そして刺激を抑えつつ明るい高域を実現します。
また搭載される10mm ダイナミックドライバーには複合樹脂振動板を採用。ダンピング層の密度を精密に調整し最適化することで軽量・高剛性に加え低歪みを実現。デュアルマグネット&デュアルチャンバー構造により振動板の前後圧力差を低減し、歪みを抑え過渡応答を改善。駆動力・音場表現・トーンバランスが大幅に向上します。
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CVJ Vivian」のフェイスプレートは、平面的なステッカー等とは異なり、陽極酸化処理を施した金属ベースに、高精細印刷技術による3Dデジタル・エンボス加工を重ねています。アートワークの下地にある陽極酸化仕上げは光をさりげなく反射し、現代的なエンジニアリングとアニメ風イラストを融合。精緻なディテールと鮮やかな色彩で個性を表現しつつ耐久性も確保しています。

ケーブルには2本撚りの銀メッキ編組ケーブルを同梱。美しい外観に加え、内部導体は信号損失を抑え、ピュアな再生に貢献します。プラグは別売りの4.4mmプラグに交換可能です。
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CVJ Vivian」は2種類のフェイスプレートを選択可能です。またケーブルはマイク付きモデルを選択することも可能です。

CVJ Vivian」の価格は20.76ドル、アマゾンでは3,599円です。

AliExpress(CVJ Official Store): CVJ Vivian ※セール価格17.93ドルで購入可能


Amazon.co.jp(CVJ JP): CVJ Vivian ※掲載時540円クーポン配布中


The HiFi Cat:CVJ Vivian


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして CVJ Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージは本体デザインと同じキャラ絵タイプのデザイン。コンパクトなボックスです。
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パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、説明書など。
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本体は樹脂製でシングルダイナミック構成ということで比較的コンパクト。そして外観に置いてはフェイスプレートが圧倒的に存在感がありますね。
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フェイスプレートの加工技術は先日レビューした「Neko」とはまた別の技法で、今回は背景パターンでエンボス加工されたフレートに高精細印刷を行いアルマイト(陽酸化処理)で表面コーティングを行う処理が行われています。この辺はOEM/ODMを幅広く手がける製造メーカーでもあるCVJの「技術サンプル(採用例)」的な要素も見て取れますね。最近ではMoondropやTANCHJIMなどむしろ上位モデルにアートデザインを施す製品も増えていますので、「Neko」の3D彫刻や「CVJ Vivian」の立体印刷+表面処理の技術を採用した製品が登場してくる可能性も今後はそれなりにあるかもしれませんね。
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ケーブルは布張りの2pinタイプ。コネクタは3.5mmですがCVJの交換式プラグを採用しており、別売りのプラグを購入する、または既存モデルの4.4mmプラグを流用することも可能です。


■ サウンドインプレッション

CVJ VivianCVJ Vivian」の音質傾向は中低域寄りにV字を描くドンシャリ。比較的癖の無い中音域と聴きやすくまとめられた高域に圧倒的なパワーを持つ重低音を中心とした低域がブーストされた印象です。ちなみに低域の量感はイヤーピースで結構調整できる印象で、例えばより耳にフィットする液体シリコンタイプなどのイヤピに交換するとより低域ゴリゴリの印象に変化し、逆に少し小さめのイヤピに換えるとややU字寄りのニュートラル方向のサウンドに変化します。しっかりイヤーピースをあわせるとパワーのある低音がとにかく楽しいサウンドですが、逆にイヤーピースを小さくすると実はゲーミング用途でも十分に利用可能な印象。この辺のチューニングに結構手堅さを感じますね。

おそらくOEM/ODMメーカーとして(注文を受ける)中華イヤホン界隈に対してフェイスプレートの加工技術をアピールする意味合いもあるはずの「CVJ Vivian」ですが、音質面でも低コストで手堅くまとめる手法をふんだんに採用しているようです。
CVJ Vivian特に歪みを抑え透明感を増すアプローチは功を奏しており高域の刺激を抑えつつ10ドル台のイヤホンらしからぬニュートラルな見通しの良さと解像感を実現しており、「(原価の)安い部品しか使って無いけど結構いい音が出るっしょ」みたいなアピールも一緒にしているようにも感じられます。キャラ絵のデザインに騙されそうですが、そういうちょっとイロモノぽい製品の裏で、むしろ積極的な技術力を発揮しているのがとても興味深いですね。

CVJ Vivian」の高域は一定の量感を持ちつつも非常に厚い低域との比較で相対的に控えめで刺さり等の刺激も抑えて聴きやすく調整されています。いっぽうで中高域の少し上くらいにアクセントを置き、聴かせどころをハッキリと描写する印象で調整されています。そのためハイハットなどのシンバル音は結構太めに鳴り存在感があります。

CVJ Vivian中音域はV字傾向のためやや凹みますが、ボーカル域は自然な距離感で定位します。いっぽうイヤーピースを少し小さくして低域を弱めるとよりニュートラルで自然な定位に変化します。中音域の音像自体は癖の無い印象。女性ボーカルの高音などの中高域は若干のアクセントがあり刺激を抑えつつ綺麗に伸びます。男性ボーカルなども豊かさがあります。輪郭は自然で適度な温かみがありますが解像感は思ったより高く、寒色系でも暖色系でも無い自然な音像表現でまとめられています。音場は左右は自然ですが奥行きは低域をしっかり鳴らすとV字特有のレイヤー感を実感出来ます。

低域は重低音を中心に強めのブーストがされており非常に量感が豊かな印象。イヤーピースを併せて重低音の成分の多い曲を再生するとその圧倒的なパワーに驚くかも知れませんね。いっぽうミッドベースは適切な締まりがあり直線的で量的には十分に多いものの中高域とは綺麗に分離します。なお布張りの付属ケーブルが結構メリハリがあり情報量が多いタイプの印象で、全体の分離性を高めている印象もありますね。ニュートラルベースのサウンドながらパワーのある低音で楽しみたい方には普通に気に入りそうなサウンドかもしれませんね。


■ まとめ

CVJ Vivianというわけで、「CVJ Vivian」は10ドル台の低価格モデルながら、フェイスプレートには高度なプリント技術が採用されており、サウンドも重低音を中心に圧倒的にパワフルな低域を持ちつつ、ニュートラルベースで聴きやすい中高域と両立し、結構楽しいリスニングサウンドにまとめられていました。質の高いケーブルとの組み合わせも含め、フェイスデザインなどイロモノ要素を無視しても普通にリスニングイヤホンとしてこの価格帯としては完成度の高いイヤホンだと思います。マニアであればひとつ持っているのも良いイヤホンだと思いますよ。