DITA Prelude

こんにちは。今回は購入済み未レビューのイヤホンを紹介する「棚からレビュー」企画です。
紹介するのは「DITA Prelude」ですね。ハイグレード製品でマニアにはお馴染みのDITAからリリースされた150ドル級のエントリーモデルで、実際のユーザー評価もなかなか高い印象です。私は8月下旬頃に購入しましたが諸々あってこのタイミングの掲載となりました。

■ 製品概要と購入方法について

「DITA」はシンガポール発のオーディオブランドでハイグレード機を中心に、シンプルな設計哲学と高精度な筐体加工、単⼀ダイナミックドライバー機の完成度の高さには定評があります。

DITA Prelude」は2025年リリースのエントリーラインのモデルです。同社の次期フラグシップの設計思想を反映した新開発10mm「Twin-Baffle」ドライバーを搭載し、価格を抑えながらも同社らしい質感・定位と広いステージを狙ったモデルのようです。
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DITA Prelude」のドライバーは「Twin-Baffle Driver Architecture」を採用した10mm ダイナミックドライバーをシングルで搭載。デュアル磁気回路と二重バッフル機構により、中域のバランスとエネルギー感を確保し鋭いアタックと自然な質感を両立しています。
シェルは新しいエアフローデザインを採用。5軸CNC加工されたA6061アルミニウム製シェルは前後ハウジングをサンドイッチ構造で結合。高剛性・低共振のシェル構造により不要振動を抑え、ドライバー性能を引き出します。フェイスの「Gruppetto」モチーフの刻印は旋律に彩りを与えた装飾音に由来しています。
DITA PreludeDITA Prelude

付属ケーブルは高純度OFC導体による4芯構成を採用。また3.5mm - Type-C変換ケーブル「ANTE」を付属。DACは最大32bit/384kHzに対応し、低ノイズ設計で特性に合わせたゲインと高S/Nを実現しています。
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DITA Prelude」の価格は159ドル。finalが取扱う国内正規品は税込み29,800円で販売されています。

楽天市場(国内正規品): DITA Prelude


免責事項:
本レビューは個人的に製品を購入し掲載している「購入者レビュー」となります。
本レビューに対してそれ以外の金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

パッケージは製品ロゴを載せたシンプルな化粧カバーとブラックのボックス。
DITA PreludeDITA Prelude
パッケージ内容は、本体、ケーブル、USB-CドングルDAC/AMP「ANTE」、イヤーピース(シリコン製2種類、それぞれS/M/Lサイズ)、ケース。
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DITA Prelude」の本体はCNC加工されたアルミニウム製の軽量設計。3ピース構成で継ぎ目の少ない「サンドイッチ」構造が特徴とのこと。レッド基調に外周シルバーのアクセントが印象的なデザインです。本体はビードブラスト+アノダイズ仕上げで金属シェルでも指紋が目立ちにくいマット寄りの質感です。
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シェルサイズは耳に収まりやすいデザイン。DITAといえばの円形デザインとはかなり異なり、ある意味「普通」の形状ではありますが、フェイスの「Gruppetto」モチーフの刻印などしっかり個性も感じられます。装着感は良好な印象。二重ベント仕様(Dual Volume Venting)により耳内圧の抜けも良好なようです。
DITA PreludeDITA Prelude

ケーブルは4芯ツイスト構成の高純度OFC線ケーブルが付属。0.08mm×20本の導体を使用しているようです。コネクタは0.78mm 2pin仕様です。取り回しは軽めで、硬すぎずクセも少なく使いやすい印象。
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イヤーピースは2種類のタイプが付属。またUSB-C接続の小型DAC/AMP「ANTE」を同梱されています。最大32bit/384kHz のPCMに対応し、優れたS/N性能を持っており「DITA Prelude」との組み合わせ前提でチューニングされている点が特徴とのことです。


■ サウンドインプレッション

DITA PreludeDITA Prelude」の音質傾向はニュートラル方向のU字または緩やかなV字で音色は若干のウォーム寄りの印象。ボーカル域は前傾するものの中域の見通しの良さがあり定位も良い印象。高域は伸びつつ刺激をコントロールされており低域はタイトでスピード感のあるニュートラルバランスな印象。
150ドル超、2万円台とDITAとしてはかなりエントリーな位置づけですが、他社の同価格帯の製品と比較しても適切な情報量と良好な分離感、そして質感があり、またDITAブランドとしての手堅さというか「上手さ」みたいなものも感じられます。ざっくり言うと、ユーザーの評価も高い製品のようですが、価格と音質および外観などの品質が「ちょっといい感」を持たせるバランス、といった印象ですね。

DITA Prelude仕様としてはインピーダンス32Ω±15%、感度108db/mWとスマートフォン直結でも比較的鳴らしやすいチューニングですが、S/Nが高く駆動力のある再生環境では伸びやかさの向上とともに、定位感がさらに向上し立体的な空間表現が実感しやすくなる印象。またリケーブル効果も相応にあり、情報量や分離感の向上に加え質感の変化なども感じやすい印象です。ニュートラル傾向の銀メッキ線やミックス線の相性が良いと思いますが、多少特徴のあるケーブルを敢えて選んで変化を楽しむのも興味深いと思います。

DITA Prelude」の高域は刺激を抑えつつも伸びと見通しの良さを感じる、自然な空気感のある印象。解像感があり詳細な印象で再生され、シンバル音も細かく表現できている印象ですが刺さり等の刺激はコントロールされています。付属ケーブルでは明瞭ですが長時間でも疲れにくい印象です。さらにリケーブルにより結構スッキリした音になる印象もありますね。

DITA Prelude中音域は見通しが良くボーカル域がやや前傾するU字寄りの印象。若干ウォーム寄りですが解像感が高く明瞭なサウンドで、滑らかさよりディテールの表現にフォーカスした印象もあります。この点ではより高価格帯の製品との質感の差はありますが200ドル以下のレンジとしては十分にレベルが高く「ちょっといい」と思わせる要素ともいえますね。U字傾向のということで女性ボーカルの高音などの中高域にはアクセントがあり抜けは良く、男性ボーカルもタイトながら自然な厚みもあります。
定位は正確で自然な広がりをもちレイヤー表現に優れた音場感が印象的。演奏も見通しよく表現され、粒立ちよく描写されます。広すぎないものの混雑することも無く、自然ながら適度な濃淡を感じる音像表現が心地よいですね。またタイトさがあり適度にスピード感があり軽快な印象もあります。

DITA Prelude低域はニュートラルバランスで量的には多くはありませんが、タイトで明瞭な音を鳴らす印象。ミッドベースはパンチ力のあるアタックがあり直線的で締まりのある印象。重低音は重量感は控えめですが深さがあり、解像度が高くスピード感のある印象。重低音のパワーや臨場感を求める方向けではありませんが、音数の多い曲も明瞭に描写し、全体の表現力は高い印象です。

全体として解像度重視のためシルキーなサウンドとは一線を画すものの、ニュートラルバランスながらボーカルが映えるサウンドで、ポップス、ロック、アニソンとの相性は良好。女性ボーカルは特に気持ちよいですね。また粒立ちの良さからアコースティックな音源も楽しいでしょう。

DITA Preludeまた付属するUSB Type-Cアダプターの「ANTE」を組み合わせた場合も、もともと比較的鳴らしやすいイヤホンであるため音が細るようなイメージはありませんでした。S/Nが高く全体として見通しが良いアダプターという印象で、スマホ直結とくらべると、自然な空間表現と透明度の向上、抜け感の良さを実感出来ます。
より入念なリスニングではDAPやアンプなどの利用が良いと思いますが、日常使いとしては十分に質の高いサウンドを楽しむことができ、「DITA Prelude」の良さを実感出来る印象です。


■ まとめ

DITA Preludeというわけで、発売以降ユーザーの評判の良さから購入してみた「DITA Prelude」ですが、DITAとしてはエントリーモデルと言うこともあり突出した特徴と言うよりバランスが良く手堅さを感じる音作りやビルドクオリティの高さが印象的でした。
全体としてエントリーモデルらしくニュートラルバランスながらボーカル曲を中心とした音作りで聴かせどころがはっきりしている点も好印象です。またリケーブルでの変化も大きいため、好みに応じていろいろ追い込む余地があるのも楽しいですね。
惜しむらくは、できれば為替がもう少し円高方向になってくれるとドル建てのイメージに近づくのですがそれでも十分に価格に見合った(あるいはそれ以上の)イヤホンだと思います。