TRN WhaleShark

こんにちは。今回は 「TRN WhaleShark」です。個性的かつ高級感のあるシェルデザインに既存モデルの「SHELL」からアップグレードされた3種類のダイナミックドライバーと6mmサイズの小型平面駆動ドライバーを搭載する「3DD+1Planar」構成のハイブリッドモデルです。バランスの良いV字傾向のリスニングサウンドで高い解像感ながら非常に聴きやすく自然な印象に仕上げられています。

■ 製品概要と購入方法について

TRN WhaleShark」は特許取得済みの3基のダイナミックドライバーと1つの平面磁気ドライバーによる3DD+1Planar構成モデルです。ジンベイザメ(Whale Shark)をイメージしたデザインで皮膚特有の質感を印象的な曲線で再現した中空アートデザインが特徴的です。フレームの内側には深海の雰囲気を醸し出すサファイアクリスタルにより装飾され、光に照らされると鮮やかな光沢を放ち、イヤホンの質感を高めるとともに、繊細で神秘的な雰囲気を醸し出します。
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TRN WhaleShark」は特許取得済みの3つのダイナミックドライバー音響アーキテクチャを採用し、低域用の第2世代10.5mm複合ベリリウム振動板ドライバー、中高域用の第2世代 8mm PET振動板ドライバー、高域用の第2世代 6mmチタンメッキ振動板ドライバーによって構成し、ピュアで精確なサウンド再生を実現します。超高域用には自社開発の6mm 平面磁気ドライバーを搭載。低歪み、広帯域、スムーズなレスポンスを実現。片側4基のドライバーによるハイブリッド構成にプロ仕様の音響チューニングアルゴリズムと最適化されたクロスオーバーネットワークにより、各ドライバーがそれぞれの周波数帯域のみを処理できるよう設計されています。
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さらに「TRN WhaleShark」は3つの交換可能なチューニングノズルが装備されています。ノズルフィルターは標準装着されている「Reference」(グリーンリング)、「Transparent」(ブラックリング)、「Atmospheric」(レッドリング)の3種類でそれぞれ独自のチューニング効果を提供します。
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付属ケーブルは無酸素銅、銀メッキ線、単結晶銅を精密な比率で編み込んだリッツ線構造のプラグ交換式プレミアムハイブリッドケーブルを標準装備しています。

TRN WhaleShark」の価格は129.99ドル、アマゾンでは19,550円です。

AliExpress(TRN Offical Store): TRN WhaleShark


Amazon.co.jp(TRN直営店): TRN WhaleShark


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして TRN Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TRN WhaleShark」のパッケージは海洋のイメージでジンベイザメを描いたデザイン。光の反射でラメ色に光るパッケージが高級感があります。パッケージサイズやデザインは「TRN SHELL」や「TRN JAWS」を踏襲していますね。
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パッケージ内容は本体、ケーブル、3.5mmおよび4.4mm交換プラグ、イヤーピース(シリコン製4種類、それぞれS/M/Lサイズ、ウレタン製1ペア)、交換用ノズルフィルター、樹脂製ケース、ケース用ストラップ、説明書など。今回も非常に充実した内容となっています。
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本体は鋳造による金属製で特徴的なシェルデザインです。丸い空洞のある外部シェルとサファイアカラーのクリスタルが埋め込まれた内側シェルが高級感があります。金属シェルのため多少重量があるのですが、フェイス部分はコンパクトなサイズ感にまとまっており、耳への収まりは良い印象。
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ただ重量があるためそれなりに耳に負担があるため、液体シリコンタイプのイヤーピースなどよりフィット感の高いイヤーピースを組み合わせるなど、長時間の利用では工夫も必要かも。ドライバー構成としては10.5mm+8mmダイナミックドライバー、6mmのダイナミックドライバーおよび6mm平面駆動ユニットに分けた2種類のシャーシのドライバーユニットを収容しています。
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交換式のフィルターノズルは、主にメッシュ裏のフィルター材の厚みにより違いがあり、「Atmospheric」(レッドリング)は標準の「Reference」(グリーンリング)より目が細かく、「Transparent」(ブラックリング)がもっとも薄いフィルター材が使われているようです。
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イヤーピースは通常タイプ(白色、黒色の2種類)および「TRN T-Eartips」に加え、今回は「Softears U.C.」タイプの透明な液体シリコン製イヤーピースも付属します。ホールド感が向上し、重量のあるシェルでもしっかり装着できる印象です。
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ケーブルは太さのある2芯撚り線タイプでネジ止め式の交換用プラグに対応します。コネクタは0.78mm の中華2pin仕様でリケーブルの選択肢も多いのが良いですね。


■ サウンドインプレッション

TRN WhaleSharkTRN WhaleShark」の音質傾向はキビキビした印象の明瞭感とハッキリした音像表現を持ちつつ滑らかさとボーカル域の自然な温かみを持つ心地よいドンシャリ傾向。バランスとしては同様の構成を持つ「TRN SHELL」同様にバランスの良いV字を描く印象ですが、より寒色傾向の「SHELL」に対し、より自然な滑らかな印象で音場も広さを感じる印象になっています。低域は非常にパワフルで力強いインパクトがあり、全体として非常に心地よいリスニングサウンドです。シェルが重いため多少耳に負担がかかる点は注意が必要ですが、「JAWS」や「SHELL」など最近の類似構成のモデルと比較しても長時間のリスニングでも最も聴きやすく仕上がっていると思います。
また、全体的に反応は良くならしやすい印象でさまざまな再生環境で使いやすい印象。付属ケーブルも情報量が多い印象ですね。

TRN WhaleShark3種類のフィルターノズルは主に中高域から高域にかけて変化します。
「Transparent」(ブラックリング)ノズルは高域強調タイプで特に女性ボーカルなどがよりスッキリした印象になります。「Atmospheric」(レッドリング)はバランスの変化はほぼ無いものの、全体的に若干ウォームな印象に変化します。
どのフィルターも大きな変化では無く、多くの場合は標準の「Reference」(グリーンリング)フィルターのままの状態で特に問題は無いと思います。そのうえで好みや再生環境に応じて交換してみるのも良いでしょう。

TRN WhaleShark」の高域は、自然な伸びの良さがあり適度に明るく透明感のある音を鳴らします。「SHELL」と同様の6mmダイナミックドライバーと平面駆動ユニットの組み合わせですが、強調感がやや抑えられており、スッキリした見通しの良さを持ちつつも寒色系にならない程度の自然な温かみもあります。刺さりやすい帯域はコントロールされ聴きやすくまとめつつ適度な明るさを持っています。

TRN WhaleShark中音域はV字傾向のバランスのため曲によってはやや凹みますが、高い解像感とハッキリとした音像表現による見通しの良さを確保しており不足を感じることはありません。
ボーカル域は多少前傾し主張があります。特に女性ボーカルのアニソンなどでは高音などの中高域付近のアクセントは強く、より主張のある印象で明瞭に再生されます。男性ボーカルも締まりがありますが滑らかで適度な温かみがあります。
より寒色系の印象の「SHELL」と比べると自然な音像表現で「TRN WhaleShark」のほうが空気感も感じる印象です。音場はより広さを感じやすく演奏との分離も良くレイヤー感もあります。演奏は強調感は無いものの滑らかさを感じる印象です。

TRN WhaleShark低域は力強く重量感のある重低音を中心に、スピード感と締まりのある音で明瞭さがあります。抜けも良く中高域との分離も良好。解像感も高い印象でキレの良さも感じます。ミッドベースは直線的でクリーンですがアタックは強く、ベースは深さと存在感とともに心地よい重量感によりパワフルさを感じさせます。重低音は深く沈み心地よい重量感で下支えしますが、抜けの良さにより重すぎず自然な印象です。
全体としては、いかにもドンシャリ系らしいV字感のあるバランスを保ちつつ各音域のバランスが良く、非常に聴きやすいサウンドにまとまっている印象ですね。


■ まとめ

TRN WhaleSharkというわけで、「TRN WhaleShark」ですが、単に「SHELL」のアップグレードモデルという感じだけでは無く、丁寧に仕上げられた高級感のある外観とともに、バランスの良いV字傾向を維持しつつ、各音域で要所を押さえた非常に聴きやすく楽しいサウンドに仕上がっている印象でした。同様のドライバー構成でブラッシュアップしながらサウンドを成熟させるアプローチも興味深いですね。
個人的にもクールな外観や充実した付属品も含め、2万円程度の価格設定でも結構お買い得さを感じるイヤホンだと思いました。