TRN Starfish

こんにちは。今回は 「TRN Starfish」です。TRNの「オーシャンズ(海洋)シリーズ」の12mmシングルダイナミック搭載モデルです。ベリリウムコート振動版を採用し、締まりの良いサウンドながら、低域を中心に雰囲気を重視した臨場感のあるサウンドが特徴的なモデルです。

■ 製品概要と購入方法について

TRN Starfish」は「Starfish(ヒトデ)」をモチーフにしたフェイスプレートデザインに、大口径12mm ダイナミックドライバーをシングルで搭載したモデルです。軽量かつ高剛性のベリリウムコーティング振動板を採用しており、優れたサウンドステージとダイナミックレンジによりディテールが向上し、臨場感あふれるクリアなサウンドを実現します。
TRN StarfishTRN Starfish
TRN Starfish」が搭載する12mm ダイナミックドライバーは高剛性、低密度、そして優れた内部減衰特性を備えた12mmベリリウムコート振動板を搭載。伸びやかな高域と高い解像度、そして高速な過渡応答を実現。また強力な磁気回路構造により、ダイナミックで高速なサウンドレスポンスを提供します。さらにベリリウムコート振動板との組み合わせにより、低歪みにより、クリアで透明度の高いサウンドを実現しています。
TRN StarfishTRN Starfish
TRN Starfish」のシェルはアルミニウム合金と樹脂による複合キャビティを採用。軽量かつ耐久性も向上させます。フェイスパネルの独自の星型の構造は、定在波トラップを巧みに解消し、空気の流れを誘導することで、より純粋で精確、そしてより正確な音像を実現し、自然な空間感覚を再現します。
TRN StarfishTRN Starfish

TRN Starfish」の価格は33.15ドル、アマゾンでは4,350円で販売されています。

AliExpress(TRN Offical Store): TRN Starfish


Amazon.co.jp(TRN直営店): TRN Starfish


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして TRN Audio より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

TRN Starfish」のパッケージも最近の海洋シリーズを踏襲し、ヒトデのイメージ画像によるパッケージ。低価格モデルのためパッケージは少し小振りです。
TRN StarfishTRN Starfish

TRN Starfish」のパッケージ内容は本体、ケーブル、交換用プラグ(3.5mm、4.4mm)、イヤーピース(3種類、S/M/Lサイズ)、説明書。イヤーピースは通常タイプのほか「TRN T-Eartip」タイプも3サイズ付属します。またケーブルがプラグ交換可能な4芯銀メッキOFC線タイプで、コストを下げつつも音質重視のパッケージングであることが伺えますね。
TRN StarfishTRN Starfish

TRN Starfish」の本体はアルミ合金製のフェイスパネルと樹脂製のフロントキャビティ(ハウジング部)で構成され、ステムノズルも金属製。TRNではよく見る構成で、シェル形状は「TRN Medusa」に近い印象。12mm DLC振動板のクラゲ(Medusa)の上位モデルがベリリウムコート振動板のヒトデ(Starfish)というのもなかなか興味深い所です。まあどちらも強烈なフェイスデザインという点では共通していますね(^^;)。
TRN StarfishTRN Starfish
独特なフェイスデザインに目が行きがちですが、「TRN Starfish」のシェル形状や大きさは最近のTRNの海洋シリーズを踏襲しており、また軽量設計であることもあり装着性は良好です。イヤーピースは標準タイプのほか、「TRN T-Eartips」が付属します。個人的には「TRN T-Eartips」がお勧めですね。
TRN StarfishTRN Starfish
ケーブルはダークブラウンとブロンズカラーの被膜を覆ったプラグ交換式の4芯銀メッキOFC線ケーブルが付属します。TRNではお馴染みのタイプの線材の撚り線タイプですね。被膜は適度に弾力がありますが取り回しは良く、この価格帯の製品でプラグ交換式のため最初からリケーブルの必要な無いのは有り難いですね。


■ サウンドインプレッション

TRN StarfishTRN Starfish」の音質傾向は比較的緩やかなV字を描く中低域寄りのドンシャリ。重低音を中心に低域が適度にブーストされていますが、全体としてはバランスが良く自然な印象を受けます。
大口径のシングルダイナミック構成ということもあり全体としてはややウォーム寄りのサウンドですが、ベリリウムコート振動版の採用により、心地よいスピード感と締まりのあるレスポンスを実現しており、全体としては音数の多い曲やBPMの早い曲も心地よく楽しめる印象です。高域はバランスとしては控えめですがスッキリとした印象で、女性ボーカルもそれほど前面には出ませんが綺麗に再生されます。いっぽうで音場はちょっと劇場っぽいひろがりがあり、臨場感をいっそう楽しめる印象。逆にダイレクト感や1音1音の解像感は一般的、という感じですね。

TRN Starfish高域は、量的には控えめで若干後方に定位しますが、音色自体は明瞭感のある見通しの良い音を鳴らします。ハイハットなどのシンバル音も綺麗で見通しも良いスッキリした印象ですが、相対的には大人しい印象で、刺さり等の刺激も同様に抑制されています。
そのため全体としては多少ゆったりした印象となり、解像感も一般的です。キレ重視や伸びやかな透明感を求める方には物足りないと思いますが、中音域を中心としたリスニングでは聴きやすくまとまっていると思います。

中音域は全体的に中低域寄りのV字傾向のため少し凹みますが、中高域、中低域にアクセントがあるため、女性ボーカルの高音および男性ボーカルの低音は少し強調され、ボーカル域はやや前傾した印象になります。
TRN Starfish全体的にはややウォーム寄りの印象で解像感も一般的すが、ベリリウムコート振動版により1音1音のレスポンスが明確で、印象としては「元気で楽しい」サウンドにまとめられています。
音場は実際に描写される音場より「広く感じる」印象で、大口径ドライバーによるキャビティでの箱鳴りを劇場の反響音のように響かせているイメージです。そのためV字的なレイヤー感と併せてホールサウンドのよう音場感があります。
また重低音を中心にブーストされた低域により心地よい臨場感が演出されます。そのためダイレクトなサウンドを好まれる方には異なるタイプのサウンドですし定位の正確さなどはそこまで期待できないため、あくまで雰囲気としてのリスニングを楽しむイヤホンという感じですね。

TRN Starfish低域は重低音を中心にブーストされており、特に装着時の密着感の増す「TRN T-Eartip」を利用時には大口径ドライバーらしい、かなりパワフルな低域を楽しむことができます。
ミッドベースはタイトで適切な締まりがあり中高域と綺麗に分離しますが、同時に力強いインパクトがあります。
重低音は深く沈み大口径ドライバーらしい余裕を持って鳴らす厚みがあります。同時にベリリウムコート振動版によるタイトさとレスポンスの良さもあり、音数が多くても混雑すること無く描写します。臨場感のある空間表現を力強く締まりのある低音で下支えし、若干大味な印象ながら緩さを抑えリスニング的な楽しさをしっかり演出してくれます。


■ まとめ

TRN Starfishというわけで、「TRN Starfish」は個性的なデザインとともに臨場感や雰囲気を楽しむようなリスニングサウンドに「かなり割り切って」チューニングすることで低価格モデルながら魅力的な製品に仕上がっていると思います。
以前レビューした「TRN Medusa」が同様の12mmダイナミックドライバーのシングル構成でV字傾向のサウンドながらより明瞭な印象でボーカル曲などにフォーカスしたリスニングサウンドサウンドにまとめられているのに対し、「TRN Starfish」はより臨場感や雰囲気を楽しむ製品としてしっかり棲み分けがされているのも興味深い印象でした。どちらもお手頃価格ですので、両方持って聴き比べてみるのも面白いでしょう。もっとも見た目だけだと「キワモノ大集合」感がマシマシですけどね(^^;)。