
こんにちは。今回は 「ooopusX Op.24」です。2DD+4BAのハイブリッド構成で約50ドル、7千円台の価格設定のお手頃イヤホンです。個性的なクールデザインに中央のダイヤルスイッチで2種類のサウンドモードを楽しめる非常に興味深い製品です。全体的に緩やかなV字傾向またはU字傾向でクールかつバランスの良いリスニングサウンドを実現しています。
■ 製品概要と購入方法について
「ooopusX Op.24」は、新しいブランド「ooopusX」による2DD+4BA仕様のハイブリッドモデルです。製品名称のはこのドライバー仕様からだと思われますね。最大の特徴は新開発の「Tunable Acoustics Physical Tuning Dial」で、中央部分のダイアルスイッチでモードを変更することで2つのサウンドを自由に切り替えることが可能です。
外観はメカニカルな意匠をベースに、流線的な面処理と細部のディテールを組み合わせた近未来的なデザインを採用。クールな印象の外観はシミュレーションと3Dプリント試作を重ね、三帯域独立レゾネーターの最適な容積比を導きだし、さらに内部トポロジーの見直しにより、過不足のない帯域バランスを想定した音響設計を行っています。


「ooopusX Op.24」のドライバー構成は、同軸配置の10mm+8mmダイナミックドライバーと4基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーによる3Wayハイブリッド構成を採用。ダイナミックドライバー部は低域用の10mmドライバーと、高域のインピーダンスを最適化する8mmドライバーを同軸配置することで構成。BA部は2種類の2BAユニットで構成され、それぞれ中高域と超高域を補完します。
またダイナミックドライバーの振動板にはシリコン・サスペンションエッジ+カーボンファイバードームの複合構造を採用。エッジ部は高い弾性と低減衰でストロークの制御を助け、ドームは高剛性により分割振動を抑制。低域の歪みを大幅に抑えつつ、高域の伸びや微細表現の明瞭さを確保します。


また「ooopusX Op.24」の最大の特徴である物理ダイヤルスイッチは内部に独立したデュアルチャンネル電子クロスオーバーを備え、用途や楽曲に応じて音の重心を直感的に調整できます。Mode 1/Mode 2の2種類のサウンドチューニングを1台で楽しむことができます。また物理ダイヤルは同社アコースティックラボで耐久試験をクリアし、意図せぬ誤作動を抑えつつ確かな操作感を持たせた設計となっています。


「ooopusX Op.24」の価格は49.99ドル、アマゾンでは7,800円で販売されています。
Amazon.co.jp(LEAUDIO-JP): ooopusX Op.24
Amazon.co.jp(Shenzhenaudio Store): ooopusX Op.24
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「ooopusX Op.24」のパッケージはシンプルがらクールなイメージのデザイン。


パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(2種類)、説明書。イヤーピースのうち1種類は「TRN T-Eartip」とほぼ同じものです。


シェルは一見すると金属製に見えますが硬質な樹脂製のようです。ホワイトで統一されたデザインは意匠的には某「DK3001BD」ぽい気もしますが(^^;)、センターの大きなダイヤルスイッチが個性を放っており、とりあえずは独自性を確保しています。


この特徴的なロジックを採用してますがシェルサイズは4BA+同軸2DD構成としてはそこまで大きくはないサイズ感にまとまっています。ただ装着時にはやや上下に長い印象で耳のサイズによっては多少イヤーピースを工夫する必要があります。


ケーブルはqdcタイプのカバー形状の0.78mm 2pin仕様。線材は銀メッキOFC線の2芯タイプです。やや細めでしなやかさがあります。またKZ/TRN用のqdcコネクタケーブルでリケーブルも可能です。ただ付属ケーブルは耳掛け加工部分の角度がいまひとつ私の耳に合わず、レビューでは類似したケーブルにリケーブルした場合も併せて比較しました。
■ サウンドインプレッション
「ooopusX Op.24」の音質傾向は緩やかなV字傾向、または若干のU字といった印象で、全体的にバランス良く再生されます。全体的には「50ドル級としては良くできたイヤホン」くらいの印象ですが、重低音が若干ブーストされており、高域もやや派手目の煌めきがある点など、クールでソリッド風な外観にあわせた要所でメリハリを効かせる感じもあります。この辺が穏やかで聴きやすいサウンドを好まれる方にはちょっと趣味が分かれる要素かもしれませんね。また全体として鳴らしやすく、小型のオーディオアダプターやDAPなどでも快適に再生できる印象で、リケーブル効果もそれなりにある印象。比較的低価格の銀メッキ線ケーブルでバランス化するだけでもより情報量がアップしメリハリが多少向上します。
そして「ooopusX Op.24」の最大の特徴である中央のダイヤルスイッチではバランスは維持しつつ各音域の印象に変化を及ぼします。具体的には「Mode 1」のほうが中低域と高域の伸びがあり、よりV字に近く、「Mode 2」は中音域がニュートラル寄りの印象でよりU字寄り、という感じですね。


個人的には付属ケーブルでは「Mode 1」、バランスケーブルにリケーブルして情報量をアップした状態では「Mode 2」のほうが好印象でした。イヤーピースやケーブルの変更等と併せて、いろいろなパターンを試して見るのも良いと思います。
「ooopusX Op.24」の高域は、このイヤホンのなかでも比較的個性というか特徴を感じさせる音域です。BAによる寒色寄り硬質で直線的な印象のサウンドに8mmダイナミックドライバーによる調整が加わることで、低価格イヤホンとしては優れた解像感をもちつつ、人工的にならず自然な印象の伸びやかさをもっています。歯擦音などの刺激もコントロールされていますが、再生環境や組み合わせるイヤーピース等によっては多少明るすぎる印象に感じる場合もあるかも。その場合はプレーヤー側のゲインを下げるなどの調整を行うほうが良いかもしれませんね。中音域は比較的ニュートラルな印象で、ボーカル域は若干前傾します。特にU字寄りの「Mode 2」ではフラット方向の印象でボーカル域が寄り際立つ印象になります。この価格帯のハイブリッドであればもっと人工的なメリハリ感をイメージしますが、「ooopusX Op.24」では全体的に滑らかな印象でまとめられています。BAとダイナミックドライバーの組み合わせにより自然なクロスオーバー処理を行っているのを実感しますね。
音場は自然な広さですが奥行きはV字傾向的なレイヤー感が有ります。中音域は比較的ニュートラルバランスなため定位は正確さを感じる印象で、分離も適切です。自然な温かみを持ちつつも音像は明瞭で、音数が多く密度感のある曲でも窮屈に感じたり滲みが出ることはないでしょう。低域は重低音を中心に若干ブーストされており、V字的な印象をより演出しています。それでも全体としては低域過多ではなくバランスが取れている印象。ミッドベースは直線的でパンチ力もあります。またMode 2では中低域にやや温かみが加わり、ニュートラル方向に自然な印象になります。
■ まとめ
というわけで、「ooopusX Op.24」はクールな外観と特徴的なモードスイッチを備え、50ドル級の価格帯としては突出した印象ではないものの魅力的なリスニングサウンドを実現してました。ただ狙いすぎたデザインのためかシェル形状がひとによってやや装着にしくかったり、付属ケーブルの耳掛け部分が本体デザインとうまく合っていなかったりと、ややツメが甘い部分も感じられました。ん質傾向的には使いやすい印象ですが、モードスイッチでもう少し強めの変化があっても面白かったですね。まあお手頃の価格設定ですので、まずは購入してケーブルやイヤピなどでいろいろ追い込んでみるのも楽しいイヤホンではないかなと感じました。








