
こんにちは。今回は 「CCA Phoenix」です。低価格中華イヤホン分野ではお馴染みの「CCA」ですが、従来とは体制も変化し、全く新しく登場したモデルが今回の「CCA Phoenix」です。30ドル前後のお手頃価格ながら、ビルドクオリティの高いシェルにLCP振動板ドライバーをシングルで搭載し、ハーマンターゲット準拠のニュートラルサウンドを実現しています。
■ 製品概要と購入方法について
「CCA(Clear Concept Audio)」は低価格中華イヤホン分野では結構お馴染みのブランドですが、今回の「CCA Phoenix」はこれまでとは異なる、新生CCAによる全く新しいモデルです。これまでま「CCA」というと「KZ ACOUSTIC」のサブブランドとして位置づけでしたが、現在の「CCA HIFI」はKZとは別の会社として独立しているらしく、多くの実績と経験値の蓄積を持ちつつも全く新しいブランドとして生まれ変わったようです。
今回の「CCA Phoenix」はそんな新生CCAによる、マニア向けおよびミュージシャン向けにスタジオグレードの精度で設計されたシングルダイナミック仕様のIEM製品です。そのサウンドはパワフルでありながらクリアで、深みのある質感のある低音を実現。中音域は明瞭で広がりがあり、ボーカルや楽器のディテールを際立たせ、煌めきのある高音域は、シンバル、弦楽器、倍音の全てを鮮やかに描写し、没入感のあるサウンドを実現します。


ドライバーには10mm LCP振動板デュアル磁気回路ダイナミックドライバーをシングルで搭載。深みのあるパンチの効いた低音と、効率的なレスポンスを実現します。LCP(液晶ポリマー)振動板は、素早い過渡応答と超低歪みによるクリアな中音域と、繊細で空気感のある高音域を実現します。
また「CCA Phoenix」はハーマンターゲットカーブに準拠して調整された、バランスの取れた自然なサウンドを提供。人間の聴覚特性に合せた正確なボーカル、豊かな低音、滑らかな高音を再現します。


「CCA Phoenix」のシェルには高品質の亜鉛合金ボディと耐振動性に優れたアルミ合金製の音響チャンバーにより、よりクリアなサウンドと歪みの低減を実現し、人間工学に基づいた形状は、優れた遮音性と快適なフィット感を実現します。
ケーブルは0.78mm 2pin仕様コネクタを採用した156本の高純度銀メッキ銅導体による4芯ケーブルを付属。クリアなサウンドを実現します。またリケーブルも容易です。


「CCA Phoenix」のカラーバリエーションは「ブラック」「シルバー」「パープル」の3色。
価格は3.5mmプラグ仕様が28.90ドル~、Type-C仕様が31.90ドル~。
アマゾンでは4,859円~です。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして CCA HIFI より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「CCA Phoenix」のパッケージはブラックを基調としたシンプルなデザイン。一見すると某S○MG○Tあたりのデザインぽさもありますね(^^;)。今回は「シルバー」「3.5mmマイク付き」モデルで届きました。


パッケージ内容は本体、ケーブル、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、レザーポーチ、デザインカーふぉ、説明書。


本体は亜鉛合金製、ノズル部分はアルミ合金製のシンプルなデザイン。従来のKZ/CCAとは明らかに異なる意匠のデザインで、これまた某S○MG○Tかと(しつこい)。質感も良く装着感も良好です。


コネクタは従来のqdcタイプの2pinから一般的な0.78mmの中華2pin仕様となりリケーブルの幅が一気に広がりました。また低価格ながらしっかりしたレザーポーチが付属するのも有り難いですね。


ケーブルは銀メッキ線の4芯撚り線タイプ。従来のKZ/CCAの厚めの樹脂被膜のケーブルと比べるとしっかりとした太さがあり、被膜も柔らかく弾力があります。ケーブルの質感は確実に向上しています。また前述の通り中華2pin仕様のためリケーブルも容易です。


今回はマイク付きモデルで届きましたが、リモコンマイク部分も従来の1ボタンタイプからより直感的な操作ができる3ボタンタイプとなりました。最近ではオンライン会議やゲーミング用途でマイク付モデルのニーズも増えていますが、使い勝手が向上しているのは良いですね。
■ サウンドインプレッション
「CCA Phoenix」の音質傾向はニュートラル方向で緩やかなU字のサウンドバランスを描く弱ドンシャリで、製品説明にも記載の通り「分かりやすくハーマンターゲットカーブ寄り」と言った印象のサウンド。低域も適度に存在感をもたせつつミッドベースを中心に締まりがあり、ボーカル域も適度にエネルギーがあるなど、非常に聴きやすく、均整の取れたバランスです。いわゆるKZ系のキレのあるV字傾向の寒色系サウンドをイメージするとちょっと拍子抜けする可能性もありますが、逆に解像感や輪郭を際立たせず、若干の温かみもあるサウンドに仕上げることで、特にコスト面で制約の大きい低価格帯のモデルでは粗の出やすいハーマンターゲットカーブ寄りバランスながら結構自然な印象にまとまっていると言えるかも知れませんね。
またインピーダンス33Ω、感度108dB/mWと比較的どのような再生環境でも鳴らしやすい仕様も魅力的でしょう。スマートフォン直挿しやゲーム機などによるゲーミング用途でもバランスの良いサウンドを十分に実感出来ます。またリケーブルにより音場感などを向上させることも可能です。
「CCA Phoenix」の高域は適度に明瞭感のある音で綺麗に鳴ります。寒色系のKZや既存のCCAのハイブリッドなどと比べるとややウォーム寄りに感じる可能性もありますが、長時間のリスニングでも聴きやすく使いやすい印象。また適度な煌めきなども感じさせつつ、歯擦音などはコントロールされています。中音域はボーカル域を中心に若干前傾しますが印象としては癖の無いニュートラルな音を鳴らします。ボーカル域は自然な厚みがあり、自然な定位ながら存在感があります。特に女性ボーカルやピアノの高音などの中高域に若干のアクセントがあり伸びの良さと抜け感があります。男性ボーカルや中低域はやや温かく、解像感より滑らかさを重視した印象。それでも分離は良好で演奏も綺麗に再生されます。ニュートラル寄りのため定位は比較的正確で音場も左右、上下ともに強調感は無く自然な印象。そのため曲によってはやや狭く感じる場合もありますが、窮屈さはありません。
低域もニュートラルバランスの量感のため、従来のKZ/CCAをイメージするとえらくスッキリした印象に感じるかもしれません。印象としてはハーマンターゲットカーブ準拠の直線的なミッドベースと強さのある重低音で、バランスとしてはミッドベースのほうにアクセントがあり、中高域を下支えする鳴り方をします。低域ゴリゴリの臨場感とは異なる印象ですが、ポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲主体な曲と相性が良く、十分に楽しめるチューニングの低域だと思います。
また輪郭は自然ですが減衰は早くスッキリしているため、ゲーミング用途でもプレイに集中できるサウンドだと思います。
低域もニュートラルバランスの量感のため、従来のKZ/CCAをイメージするとえらくスッキリした印象に感じるかもしれません。印象としてはハーマンターゲットカーブ準拠の直線的なミッドベースと強さのある重低音で、バランスとしてはミッドベースのほうにアクセントがあり、中高域を下支えする鳴り方をします。低域ゴリゴリの臨場感とは異なる印象ですが、ポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲主体な曲と相性が良く、十分に楽しめるチューニングの低域だと思います。また輪郭は自然ですが減衰は早くスッキリしているため、ゲーミング用途でもプレイに集中できるサウンドだと思います。
■ まとめ
というわけで今回の「CCA Phoenix」は30ドル前後の低価格イヤホンながら、これまでのCCAとは一線を画し、文字通りハーマンターゲット準拠という方向性で仕上げられたイヤホンでした。印象としては想像以上にちゃんとまとまっており、逆にこれまでのCCA製品とはほぼ別メーカーの製品のように感じました。ニュートラルバランスながら自然な輪郭と寒色になりすぎない自然な音像表現で、粗の出やすいハーマンターゲット準拠でも手堅くまとめられている印象です。どちらかというとボーカル域にフォーカスし、適度な明瞭さを実現しつつ、レイヤー感や解像感を強調しないことで、神経質なリスニングをあえてさせないようなチューニングにも思えます。この辺が従来のCCA(またはKZ)らしくないと感じる理由かもしれませんね。
とはいえ最近では、50ドル以下、しいては30ドル前後の低価格帯でニュートラル傾向の製品も実は結構増えており、特にMoondrop、TANCHIJIM、SIMGOTといったミドルグレードを主戦場とするブランドのエントリークラスの低価格モデルでは高評価の製品が多く、定番と呼ばれる製品も出てきています。そんななかで「CCA Phoenix」もかなり近いチューニングを行いつつ、これらの製品と遜色無い印象で、かつ耐久性に優れビルドクオリティの高いシェルや、ケーブル、ポーチなどよりグレードの高い付属品を備えている点で、十分に競争力があり、幅広いユーザーにお勧めしやすいイヤホンだと思います。また今後のCCAの製品も期待したいですね。








