HIDIZS MK12 x DucBloke

こんにちは。今回は 「HIDIZS MK12 x DucBloke」です。12mm大口径91%ピュアマグネシウム振動板ダイナミックドライバーを搭載した「HIDIZS MK12 Turris」をベースに、DucBlokeとの共同ブランドチューニングにより、より低域にフォーカスし、V字方向のダイナミックなサウンドを実現する限定モデルです。またHidizs公式のPEQ設定が公開されており3種類の異なるチューニングを楽しめる点でも非常に興味深い製品となっています。

■ 製品概要と購入方法について

HIDIZS」はコンパクトなDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やスマートデバイス用のオーディオアダプターの分野で人気の高いブランドですね。さらに最近ではイヤホンも高音質・高品質な新製品を精力的にラインナップしており、どのモデルも多くのユーザーから高い評価を受けています。

HIDIZS MK12 Turris」は世界初の12mm大口径91%ピュアマグネシウム振動板ダイナミックドライバーを搭載したIEM製品。これまでに「MK12」およびチタニウム仕様の「MK12 Gradient」のレビューを掲載しています。
→ 過去記事: 「HIDIZS MK12 Turris」 世界初 91%ピュアマグネシウム振動板ダイナミックドライバー搭載。美音系リスニングサウンドのU200ドル級 高音質イヤホン 【レビュー】


→ 過去記事: 「HIDIZS MK12 Turris Gradient (Tint Titanium Alloy Edition)」チタニウム合金シェル採用の限定版。ピュアマグネシウム振動板の高音質イヤホン 【レビュー】


今回の「HIDIZS MK12 x DucBloke」は、「HIDIZS MK12 Turris」をベースに、DucBlokeとの共同ブランドチューニングによる限定モデルです。伝説的なPEQチューニングによるリスニング体験に特化した「DucBloke(Tim.)」とのパートナーシップにより開発され、Tim氏独自の「ターゲット」レスポンスを反映するようにチューニングされています。

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ベースとなった「MK12 Turris」は、91%純マグネシウムM字型ドーム振動板を採用した大口径12mm ダイナミックドライバーを搭載。深みのある低音、鮮明な高音、そして10Hz~45kHzのワイドレンジを実現します。1.5Tマグネットを搭載した次世代磁気回路は、駆動力と精度を向上させます。
さらに「HIDIZS MK12 x DucBloke」は広々とした自然なサウンドステージ、印象的な深みとダイナミクスを備えたパワフルでありながら制御された低音、スムーズで明瞭な中音、疲れることなく聴き取れる洗練された高音を実現します。
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HIDIZS MK12 x DucBloke」の印象的な赤いシェルはCNC加工により一体成形されています。また専用に8芯の銀メッキ高純度無酸素銅ケーブル、さまざまなサイズの5組のDivinus Velvetイヤーチップ、および高級フリップトップレザーケースが装備されています。

HIDIZS MK12 x DucBloke」の価格は259ドルです。

Hidizs公式サイト(hidizs.com):HIDIZS MK12 x DucBloke


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Hidizs より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

HIDIZS MK12 x DucBloke」のパッケージは本体カラーに合わせた鮮やかな赤いボックスで目を引きますね。
HIDIZS MK12 x DucBlokeHIDIZS MK12 x DucBloke

パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブルは4.4mmタイプ、「VELVET」イヤーピースが5サイズ、レザーケース、説明書、保証カード。既存モデルとは結構異なる仕様です。
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本体はアルミニウム合金製でシェル形状そのものは「MK12 Turris」を完全に踏襲しています。鮮明な赤いカラーリングが目を引きますね。このカラーになると形状的な意匠であるベニクラゲのイメージはおぼないかもしれません。
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シェル形状そのものは同じですが大きな相違点として、ステムノズル部は固定式で既存モデルのような交換式フィルターは装備されていません。これはコラボした「DucBloke」によるハードウェアチューニングが70%、PEQによるソフトウェアチューニングが30%、という設計コンセプトによるものです。
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またイヤーピースも従来タイプのものは付属せず、かわりに「DIVINUS VELVET」イヤーピースが5サイズ同梱されます。もともとシェルサイズは大きくやや重いものの耳にフィットしやすいデザインのため、多くの場合はイヤーピースは付属品でしっかりとした装着感を得られると思います。
HIDIZS MK12 x DucBlokeHIDIZS MK12 x DucBloke
ケーブルはより太さのある8芯撚り線タイプが付属。本体カラーと同じ赤い被膜が鮮明ですね。太さがあり重量もアップしていますが取り回しも良く使いやすい印象です。


■ サウンドインプレッション

HIDIZS MK12 x DucBlokeHIDIZS MK12 x DucBloke」のサウンドはオリジナルの「MK12 Turris」のニュートラルなサウンドに比べより低域がブーストされ、よりV字方向に強調されたバランスに変化しています。印象とししては適度な温かみを感じる、中低域寄りのドンシャリ傾向のサウンドに調整されています。
標準でのチューニングとしては「MK12 Turris」の「Enchanting Red」(低域強化)フィルターをさらにV字方向に分かりやすくしたようなサウンドかもしれませんね。そのためピュアマグネシウム振動板の採用による「MK12 Turris」独特の音像表現は踏襲しつつ、より低域の厚みを楽しめる、異なるサウンドを楽しめるイヤホンに仕上がっている印象です。

なお、「MK12 Turris」同様に「HIDIZS MK12 x DucBloke」でも採用されている 91%ピュアマグネシウム振動板は、アルミニウム・マグネシウム合金(Al-Mg)振動板のようなやや硬質で寒色寄りのシャープな金属振動板の特徴も感じさせつつより豊かで自然で滑らかさを感じさせます。また1.5Tの強力な磁気回路の効果もありレスポンスは非常に高速で音像表現には精緻さがあります。
HIDIZS MK12 x DucBlokeそしてインピーダンス 32Ωの、感度 111dBと多くの再生環境で比較的鳴らしやすい仕様になっているのもHidizsらしいチューニングと言えるでしょう。
それでもオリジナルでの「MK12 Turris」はリケーブルの効果もそれなりに感じられる印象でしたが「HIDIZS MK12 x DucBloke」ではより情報量の多い8芯高純度OFC銀メッキ線ケーブルが付属することで標準環境で十分にポテンシャルを引き出している印象です。またリケーブルで変化を持たせたい場合は高域がより伸びるタイプの純銀線やミックス線を選ぶのも良いと思います。

そして、「HIDIZS MK12 x DucBloke」の大きな特徴のひとつとして「DucBloke」とのコラボレーションにより公式で3種類のPEQ(パラメトリック・イコライザ)設定データを公開していることです。

HIDIZS AP80 PRO MAX「PEQ(パラメトリック・イコライザ)」は、周波数帯域(FREQ)、ゲイン(GAIN)、帯域幅(Q値/WIDTH)の3つの要素を自由に調整でき、音質を非常に細かく、かつ精密に調整可能な高機能イコライザの仕組みで、最近レビューした「Hidizs AP80 PRO MAX」でも新たに搭載されています。
一般的な10バンドEQのような固定帯域ごとの調整に対し、PEQは「どの周波数を」「どれくらい」「どれくらいの幅で」変化させるかを指定できるため、より自然で狙った音作りが可能で、特に海外コミュニティや国内でも一部の界隈で注目されていますね。

HIDIZS MK12 x DucBloke」についてはHidizs公式サイトのダウンロードページにて、「PEQ Tuning」として公開されています。同社の「AP80 PRO MAX」用の設定ファイルのほか、「Neutron Player」「Poweramp」「UAPP(USB Audio Player Pro)」「Wavelet」といったPEQ設定に対応した各プレイヤーアプリ用の設定ファイルがダウンロード可能です。「AP80 PRO MAX」のユーザーはもちろん、スマートフォン+オーディオアダプター構成やAndroid系DAPを使用していればすぐに利用することが可能ですね。
HIDIZS MK12 x DucBlokeHIDIZS MK12 x DucBloke

公開されている「HIDIZS MK12 x DucBloke」のPEQ設定は「Hard Hitting」「Neutral」「Sparkle」の3種類で、それぞれ標準のサウンドに対して以下のようなチューニングが行われています。

「Hard Hitting」 低域の押し出しをさらに強め、サブベースの沈み込みとキック感を追加
「Neutral」 本機のキャラクターを維持しつつ、全体のバランスを整える方向
「Sparkle」 高域側にわずかに明るさ・空気感を足し、抜けと見通しを改善する方向

実際の印象としては、もっとも「素の状態」に近いのが「Neutral」で、よりメリハリのあるドンシャリサウンドに変化する「Hard Hitting」と、パワフルな低域を維持ししつつオリジナルの「MK12 Turris」に近いブライトな高域を持つのが「Sparkle」といった感じです。

HIDIZS MK12 x DucBlokeHIDIZS MK12 x DucBloke」の高域は明瞭な伸びやかさを維持しつつ刺激を抑えより聴きやすくまとめた印象。暗くはありませんが派手さは無くややウォーム方向に調整されています。そのためシンバルのエッジや歯切れは控えめで、刺激や刺さりを抑えつつ、超高域を伸ばすことで伸びやかさも感じさせるバランスです。そのためより明瞭でやシャープさを求める方には多少大人しく感じる可能性があります。いっぽうでより音量を上げても聴きやすく、長時間のリスニングにも快適さがあります。

中音域はよりV字傾向の印象が強くなり曲によっては多少凹み、レイヤー感のある音場で聴かせます。「MK12 Turris」同様のピュアマグネシウム振動板による適度な硬質感と自然な滑らかさが両立しており、高速な過渡応答と明瞭な輪郭、ディテール感のある音像表現はしっかり踏襲しています。
HIDIZS MK12 x DucBlokeボーカル域は自然な距離感で定位しつつ、密度感のある印象で再生されます。音場は左右方向に広く、低域の厚みがあるわりに窮屈さは感じず自然な印象。V字傾向による前後のレイヤー感もあり演奏の分離も適切です。演奏も自然な温かみがあり、アコースティックやバンドサウンドの音色も心地よくまとまる印象。全体的なつながりの良さと自然なバランスで臨場感やライブ感を楽しめるサウンドです。

低域は、「HIDIZS MK12 x DucBloke」において最もフォーカスされている音域といえるでしょう。重低音の沈み込みはより深く、ミッドベースも力強く鳴ります。力強くパンチ力のある音でより低域の存在感がはっきりブーストされています。いっぽうで中高域との分離も適切でマスクする印象はありません。ミッドベースは厚みがありつつ過度に膨らむことはなく、ベースラインは全体をしっかり下支えする印象。全体の臨場感やグルーヴ感を心地よく演出します。ただし解像感やキレ感はオリジナルの「MK12 Turris」には及ばないため、わかりやすいリスニング向けのチューニングといえるでしょう。


■ まとめ

HIDIZS MK12 x DucBlokeというわけで、「HIDIZS MK12 x DucBloke」は同社の「MK12」シリーズの中でもカラーリング的にもサウンドやアプローチ面でも最も個性的なモデルに仕上がっていました。低域をよりブースとしたドンシャリ傾向のサウンドはオリジナルの「MK12 Turris」との比較として非常に興味深いですし、公式のPEQ設定が公開されている点でPEQ設定をとりあえず体験してみたい方にとっても手軽なアイテムとして楽しめそうです。また付属品があらかじめ充実していてリケーブルやイヤーピースの交換が不要な点も良いですね。現時点では公式サイトからの購入となりますが、興味のある方は購入を検討してみるのも良いと思いますよ(^^)。