EarAcoustic Audio GENESIS MiX9

こんにちは。今回は 「EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」 です。EarAcoustic AudioのELYSIAN FIELDSシリーズ第2弾として投入された、1DD+4BA+4MPD(マイクロ平面ドライバー)構成の9ドライバーハイブリッドモデルです。第1弾の「GENESIS G318s」がシングルダイナミック構成でで空間表現とアナログ感を重視していたのに対し、「EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」ではマルチドライバーを活かしたニュートラル方向の明瞭なサウンドで、リスニング的にも非常に楽しいイヤホンに仕上がっていると思います。

■ 製品概要と購入方法について

EarAcoustic Audioは、TFZ/SUPERTFZを経て2024年に中国・深圳で設立されたHi-Fiオーディオブランドです。「EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」はその上位ラインにあたるELYSIAN FIELDSシリーズの第2弾として展開され、「究極のボーカル表現」をコンセプトに1DD+4BA+4MPD(マイクロ平面ドライバー)による片側9ドライバー構成を採用。

EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」では、クラシックから現代ポップボーカルまで幅広く分析したうえで、暖かみのある中域、適度に包み込む低域、滑らかな高域の伸びを重視した「ポップスの黄金的な聴感」を目指しています。シリーズ第1弾の「GENESIS G318s」がアナログレコードをを意識した温かみのある中音域と柔らかな高音域を軸に製品化されていたのに対し、「EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」ではより現代ポップス寄りにボーカルの輪郭と密度感を前面に出したチューニングが施されているそうです。
EarAcoustic Audio GENESIS MiX9EarAcoustic Audio GENESIS MiX9
ドライバーには8.3mm デュアル磁気回路・デュアルキャビティ構造のダイナミックドライバー1基、「DWFK-31785-TW200」デュアルBAユニットを2基(合計4BA)、「PD6103A008」デュアルマイクロ平面ドライバー(MPD)ユニットを2基(合計4MPD)搭載します。シリーズ第1弾の「GENESIS G318s」がシングルダイナミック1基で原音再現と空間体験を掲げていたのに対し、本機は明確にボーカル表現へ主眼を置いたモデルで、明確なアプローチの違いを打ち出しています。
EarAcoustic Audio GENESIS MiX9EarAcoustic Audio GENESIS MiX9
ダイナミックドライバーはチタンドーム+複合サスペンション振動板を採用し、低域側はにより弾力と温かみを表現し、800Hz~6kHzを担う4基のBAが低歪みかつ高密度なボーカル再現を重視、6kHz以上の超高域を担う4基のMPDユニットが歯擦音や空気感、残響表現を自然に引き出しつつ、耳障りな強さを抑える設計となっているようです。
ハウジングはABS樹脂による射出成形をベースに、手作業での研磨と塗装を施し、フェイスプレートにはジュエリー調のカットデザインを採用しています。
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EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」の価格は407.55ドル、国内では64,800円前後で販売されています。

AliExpress(Angelears Top Store):EarAcoustic Audio GENESIS MiX9


■ 免責事項
本レビューではレビューサンプルとして Angelears より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容

パッケージは黒を基調とした重厚なデザインで、ブランドの世界観を感じさせる高級感があります。
EarAcoustic Audio GENESIS MiX9EarAcoustic Audio GENESIS MiX9

パッケージ内容は、イヤホン本体、銀メッキ高純度OFC 4.4mmバランスケーブル、2種類のイヤーピース各S/M/Lサイズ、大型ケース、説明書およびシリアルナンバー入りカード。
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EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」の本体ははABS樹脂ベースのシェルにカット入りフェイスプレートを組み合わせたデザインで、アルミ合金シェルの「GENESIS G318s」と比べると、より華やかで軽快な印象があります。「GENESIS G318s」はメタリックシルバー系のアーティスティックな方向性でしたが、「EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」はより装飾性と軽さを重視した印象です。
EarAcoustic Audio GENESIS MiX9EarAcoustic Audio GENESIS MiX9
シェルサイズは大きめで、片側9ドライバー構成ながら樹脂製シェルの採用で比較的軽量にまとめられています。耳への収まりも良く装着感は良好です。遮音性も一般的なダイナミック型としては十分なレベルを確保しています。
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付属ケーブルは高純度OFC銀メッキの2Pin-4.4mmバランス仕様です。近年の中上位モデルとしては標準的な構成ですが、最初から4.4mm前提で組まれているため、DAPやUSB DACとの組み合わせを想定した使い方に向いています。
EarAcoustic Audio GENESIS MiX9EarAcoustic Audio GENESIS MiX9
イヤーピースは各サイズ2タイプが各サイズ付属。またアタッシュケース風デザインの大型ケースも付属し、高い収納性を確保しています。


■ サウンドインプレッション

EarAcoustic Audio GENESIS MiX9EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」の音質傾向は、スッキリした明瞭感のある音色で中音域にフォーカスしたU字寄りの弱ドンシャリ。「GENESIS G318s」がウォーム寄りの音色ながらバランスとしては中低域寄りの顕著なV字傾向だったのに対し、「EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」はよりニュートラル寄りのバランスで中音域もボーカル域を中心に前傾し、癖の無い印象で明瞭に再生されます。実際海外レビューのf値傾向を見るとハーマンターゲットカーブ(H-2019)に比較的寄せた印象でまとめられており、TFZから続く「分かりやすいドンシャリ傾向」のサウンドとは一線を画した、ミドルグレード以上の製品を購入されるより多くの層に訴求しやすいサウンドと言えるでしょう。
いっぽうで、「イマドキ」の刺激を抑えたウォーム寄りのサウンド傾向と比較すると、「EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」では中高域から高域にかけてスッキリとした鮮やかさを感じさせるチューニングが施されており、聴きやすさは維持しつつ、かつてのTFZ/SUPERTFZ製品のようなボーカル域のキラキラ感も感じさせるサウンドになっています。

EarAcoustic Audio GENESIS MiX9最近のMPD(マイクロ平面ドライバー)の使い方としては、全体的にウォーム基調にまとめ、中高域からの伸びも早めにピークを置く代わりに超高域のMPDでアクセントを置いて聴きやすさと透明感や空気感を両立させる、というアプローチが多く見られます。これに対し、「EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」では2ユニット4BAのDWFKが中音域から高域にかけて(型番のみでメーカー名は記載していませんが)Knowles製BAらしいスッキリしたキレのある明瞭さと情報量の多さで表現しつつ、さらに4基のMPDで超高域をブーストする、ハーマンターゲット方向での現在ではトラディショナルとも言える使い方をしているのが印象的です。そのため、ボーカル域はしっかり前傾するものの、印象としてはよりドンシャリ方向の明瞭なサウンドとして感じる方が多いのではと思います。

EarAcoustic Audio GENESIS MiX9EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」の高域は、6kHz以上の超高域でマイクロ平面らしい空気感とスッキリとした見通しの良さを担いつつ、多少駆動力をかけても刺さる直前くらいの刺激で設計されています。製品説明でも「歯擦音やハーモニクス、残響表現を自然に再現しながら聴きやすさと華やかさの両立を実現する」としていますが、前述の通り最近の同クラスのウォーム傾向に対するアンチテーゼ的なアプローチであり、自社製品としてはむしろ積極的にウォームに寄せた「GENESIS G318s」と対照的な音作りであることを示してます。個人的には往年のTFZを彷彿とさせる高域のキレの良さ、伸びと透明感が有り、非常に好印象ですね。

中音域はV字方向のレイヤー感がありつつ、ボーカル域は前傾し凹むことなく再生されます。仕様としては800Hz~6kHzを担当するとされる2ユニット4BAのDWFKが対称配置され、極めて低い歪みと高い密度で、ボーカルの表現力を高めているようです。
EarAcoustic Audio GENESIS MiX9実際の印象としても、ハーマンターゲットカーブに準拠したバランスで中高域付近に分かりやすくアクセントがあり女性ボーカルやピアノの高音などは適度な艶感を感じさせつつ鮮やかな印象で綺麗に伸びます。男性ボーカルも癖の無い印象で原音に忠実ながら印象としては薄くならず、芯のある音で前方で再生されます。またBAらしい硬質な明瞭さとキレの良さがあり、演奏との分離も良い印象。演奏も優れた解像感で粒立ちよく再生されます。音場は過度に強調しませんが自然な広さと定位があり、また伸びのある高域によりスッキリとした見通しの良さから近いながらレイヤー感もあります。

低域はニュートラルバランスで量感を強調することはありませんが、ミッドベースを中心にキレの良さとスピード感があり、自然な輪郭と締まりで全体を下支えします。中高域との分離も良く、ミッドベースは直線的な印象。重低音は自然な沈み込みの良さを持ちつつ、スピード感のある音で再生されます。


■ まとめ

EarAcoustic Audio GENESIS MiX9というわけで、「EarAcoustic Audio GENESIS MiX9」は、1DD+4BA+4MPDの片側9ドライバー構成を活かし、ハーマンターゲットカーブを意識したバランスと分かりやすいドライバー配置による手堅いサウンドチューンイングにより、イマドキの傾向と比較すると多少トラディショナル感もある印象ながらボーカル域が非常に映える、かつてのTFZからの継承も感じられるサウンドに仕上がっていました。
もちろん価格に見合った質の高さもあり、ボーカル帯域の密度感と情報量を丁寧に引き出しつつ、低域の土台と高域の空気感もバランスよくまとめており、ボーカル曲を中心に多くのジャンルの音源で楽しめるリスニングイヤホンに仕上がっていると思います。
シリーズ第1弾の「GENESIS G318s」がアナログ感や空間表現を軸にしていたのに対し、本機はより明瞭かつ鮮やかなサウンドで楽しませる印象なのが対照的で興味深いですね。それなりの価格設定の製品ではありますが、価格に見合う音作りで、一度試聴していただくと好感も持つ方も多いのではと感じました。