EarAcoustic OSHUN-LTD

こんにちは。今回は 「EarAcoustic OSHUN-LTD」 です。EarAcoustic Audioによる、160ドル台で購入可能なシングルダイナミックモデルです。8.3mmデュアルマグネット・デュアルキャビティ構造のテスラダイナミックドライバーを搭載し、往年のTFZの「KING」系を彷彿とさせる明瞭なドンシャリサウンドが楽しめ、華やかさのあるハンマーテクスチャのアルミ合金シェルも魅力的なイヤホンです。

■ 製品概要と購入方法について

EarAcoustic OSHUN-LTD」は、プロフェッショナル向けステージIEMやHi-Fiイヤホンを展開するEarAcoustic Audioのシングルダイナミック構成モデルです。EarAcoustic Audioは近年、比較的手頃な価格帯から個性的な上位モデルまで幅広く展開しており、製品ごとにデザインやチューニングの方向性を明確に打ち出している印象があります。

今回の「EarAcoustic OSHUN-LTD」では、6063アルミニウム合金を使用したメタルシェルに、隕石のようなハンマーテクスチャと電気メッキ処理、クリスタル調コーティングを組み合わせたデザインに8.3mm径の高性能ダイナミックドライバーを採用した1DD構成のモデルです。

EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD
EarAcoustic OSHUN-LTD」のドライバーは8.3mm径のデュアルマグネット・デュアルキャビティ構造のテスラダイナミックドライバーをを搭載。振動板には6µm厚のチタン合金ドームとフルカーボンファイバーサスペンションを組み合わせた複合振動板を採用し、鮮明で聴き疲れしない高音域と、リラックスした自然な低音域、そして引き締まった弾力のある低音域を実現します。
EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD
また、内部の音響設計では人間の耳介データをもとにしたシミュレーテッド・アコースティック・キャビティを採用し、左右の広い音像定位を維持しながら前後方向の奥行き感も実現。鮮やかで立体的なライブステージの臨場感を生み出します。

カラーバリエーションはSilver、Platinum、Black、Goldの4色が用意され、いずれも金属シェルならではの質感を活かした仕上げになっています。
EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD
付属ケーブルは単結晶銅と銀メッキ銅を組み合わせたハイブリッドLitz構造で3.5mmシングルエンドまたは4.4mmバランスの選択可能。
価格は169ドルです。AliExpressではAngelears Top Storeにて購入可能です。

AliExpress(Angelears Top Store): 「EarAcoustic OSHUN-LTD」


■ 免責事項
本レビューではレビューサンプルとして Angelears より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容

パッケージはEarAcoustic Audioらしいシンプルながら製品イメージを前面に出したデザイン。
EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD

パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、2種類各サイズのイヤーピース(収納ケース入り)、円形のキャリングケース、説明書、保証カードなどです。
EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD

EarAcoustic OSHUN-LTD」の外観は、アルミニウム合金シェルにハンマー仕上げのような凹凸のあるフェイスデザインを組み合わせた、かなり印象的なものです。シングルダイナミック構成のイヤホンとしてはフェイス部分の造形が強く、シンプルな構成ながら見た目の存在感はかなり高めです。金属筐体ながら片側6.8gと軽量に抑えられており、手に取ると見た目ほど重さを感じない点も好印象です。
EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD

シェル形状は耳に収まりやすい丸みのあるIEM形状で、金属シェルらしい剛性感を持ちながら装着性も比較的良好です。ノズルは極端に長いタイプではなく、イヤーピースの選択によって装着の深さや密閉感が多少変化します。耳穴の小さいユーザーも想定したノズル角度とされており、しっかり装着できれば安定したホールド感が得られると思います。

本体は0.78mm 2pin仕様で、ケーブル交換にも対応します。金属シェルの質感を活かしたデザインながら、コネクタまわりやベントの処理も比較的シンプルで、扱いにくさは少ない印象です。外観の個性はかなり強めですが、装着した際には耳元でほどよく存在感を出すタイプだと思います。
EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD
付属ケーブルは単結晶銅と銀メッキ銅を組み合わせたLitz構造の線材を採用。適度な太さのあるケーブルで、購入時に3.5mmまたは4.4mmを選択可能。イヤーピースは2種類のタイプで各サイズ付属します。


■ サウンドインプレッション

EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD」の音質は、明瞭でキレのある硬質な印象でしっかりとした伸びとのある高域と、締まりのあるパワフルな低域を持つ、気持ちよいV字を描くサウンド。バランスとしては弱ドンシャリ傾向だと思いますが、TFZ/SUPERTFZのKING系サウンドを彷彿とさせる、華やかさを感じる印象です。というかKING系の正統な後継製品という感じもありますね(^^;)。
シングルダイナミック構成らしい自然な帯域のつながり良さを持ちながら、鮮やかな高域により明確な輪郭を描き、V字のバランスながら存在感のある中音域を表現します。全体としては、キレの良さとスピード感を感じる鮮明なサウンド楽しめる音作りですね。

ちなみに、かつてのTFZといえば、「SERIES」や「KING」ラインでデュアルマグネット・デュアルキャビティ構造のシングルダイナミック構成の特徴とメリットを幅広く定着させた存在といえます。
EarAcoustic OSHUN-LTD現在でこそ二重の磁気回路を搭載するダイナミックドライバーは一般的な存在となっていますが、TFZが採用したオリジナルでは「2つのチャンバー」と「2つのボイスコイル」をひとつのダイナミックドライバー内に搭載し、二重化された磁気回路がそれぞれ超高域・高域と中域・低域を担うことにより、通常のダイナミックドライバーより広いダイナミックレンジと分離性を実現しています。「EarAcoustic OSHUN-LTD」に搭載される8.3mmドライバーにおいてもこの構造はしっかり踏襲されているようですね。

仕様としては、インピーダンス 26Ω、感度 110dB/mW で、比較的音量は取りやすい印象です。もっともドライバーのポテンシャルの高さは同シリーズの特徴のひとつでもあるため、駆動力のある上流でしっかり鳴らす方がより良さを実感出来るのではと思います。バランス接続では、音像の輪郭や低域の締まり、左右の分離が多少向上し、スッキリ感が向上します。

EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD」の高域は明るく伸びのある音を鳴らします。やや硬質でスッキリした明瞭な印象で、シンバル音などの金属的な響きもはっきりと再生します。煌めきや鋭さも表現されるためウォーム系の聴きやすいサウンドが好みの方にはやや刺激を感じる可能性もありますが、刺さる直前でコントロールされており、解像感のある高域が好みの方であれば長時間のリスニングでも十分に楽しめると思います。ESTなどの突き抜ける感じとは異なりますが超高域の空気感もあり非常に聴き応えのある高域だと思います。

中音域もスッキリした見通しの良い音で明瞭に再生されます。V字方向のサウンドのため、楽曲によってはやや凹む印象もありますが、ボーカル域は前傾して定位し、存在感を維持しています。
EarAcoustic OSHUN-LTD女性ボーカルは明瞭さと伸びの良さがあり、華やかさを伴って聴かせます。男性ボーカルは濃密さよりも輪郭と明瞭感が強調されますが淡泊にはならず同様に鮮やかさを感じさせます。全体的にキレのよさとスピード感のある印象で解像感も高い印象。演奏との分離も良く、楽器も粒立ちよく再生されます。音源によって演奏の厚みに対してボーカル周辺が少し整理された印象になりますが、見通しの良さにより不足はないでしょう。音場は左右方向に自然な広がりがあり、V字方向に自然なレイヤー感もあります。ただし中低域の厚みは一般的でキレのよさや明瞭さを感じる印象のため、包み込むような空間表現より、より実体的な音像をはっきりと描くタイプだと思います。

低域はV字方向に適度にブーストされつつ、インパクトと締まりある音で明確なラインでパワフルに鳴ります。ミッドベースは締まりのある直線的な印象で過度に膨らむこと無く明瞭に鳴ります。アタックが明確で、芯のある音を力強く鳴らす印象。重低音はしっかりと沈みつつ、自然な弾力と響きで適度な厚みを与えています。全体的な明瞭感やスピード感を維持しつつも、いわゆる中華ハイブリッドのような派手な鳴り方とは異なるため、リスニング的な豊かさや楽しさを維持している点が印象的。この辺のアプローチはかつてのTFZより質感が向上しており進化を感じる点かもしれませんね。


■ まとめ

EarAcoustic OSHUN-LTDEarAcoustic OSHUN-LTD」は、ハンマーテクスチャを持つアルミ合金シェルと、TFZ時代からの正統な進化を感じさせる8.3mmテスラダイナミックドライバーによる明瞭で華やかなサウンドを組み合わせた、魅力的なモデルだと感じました。同ブランドでは上位クラスの価格帯の製品も増えてますが、169ドル前後の価格帯とかつての「KING」シリーズの比較的手頃な価格帯でまとめられている点も好感が持てます(実際の購入価格は為替の影響で当時の「KING」系より高くなっていますが。。。)。個人的には非常に好きな音質傾向でお勧めしたい製品でもありますね。

ちなみにSUPERTFZでわかりやすくティ○ァニー風にしてみたりと、同社のジュエリー方向のデザイン指向は「お馴染み」または「お家芸」ともいえるわけですが(^^;)、EarAcoustic Audioになって以降は自社のブランディングとしてやっと定着してきた感もありますね。個人的にはファッションアイテムとして一定グレード以上の有線イヤホンが認知されることは、マーケットの裾野を広げ、製品開発が活発になる原資ともなるため肯定的に感じています。そういった意味でも同ブランドには魅力的な製品開発を頑張ってほしいなと思います。