GRAND ORIVETI Eminency

こんにちは。今回は 「GRAND ORIVETI Eminency」 です。イヤホンおよびヘッドホン分野で豊富な開発経験を持つORIVETIによる、10mmダイナミックドライバーと8基のカスタムBA、4基の平面駆動ドライバーを搭載した片側13ドライバー構成のトライブリッドIEMです。深く力強い低域と明瞭な中音域、平面駆動ドライバーによる美しく伸びる高域を、スタビライズドウッド製シェルとともに楽しめるハイエンドモデルです。

■ 製品概要と購入方法について

GRAND ORIVETI Eminency」は、2015年に香港で設立されたオーディオブランドの「ORIVETI」によるハイエンドIEMです。「ORIVETI」は自然な音色と精密な設計を重視した「Classic ORIVETI」、個性的なデザインとサウンドを展開する「bleqk」シリーズに加え、同社の技術とクラフトマンシップを集約した最上位ラインとして「Grand Oriveti」を展開しています。

GRAND ORIVETI Eminency」は、「Grand Oriveti」シリーズに追加された2026年の新モデルです。上位モデルの「Supremacy」が4基のESTドライバーと4基のBA、1基のダイナミックドライバーによる滑らかさや繊細な高域を特徴とするのに対し、「GRAND ORIVETI Eminency」では「Grand Oriveti」として初めて平面駆動ドライバーを採用。片側13基の大規模な構成によって、低域の物理的な存在感、中音域の質感、高域の精密さと空間の奥行きを表現する設計となっています。

GRAND ORIVETI EminencyGRAND ORIVETI Eminency

ドライバー構成は、低域用の10mm複合振動板ダイナミックドライバーを1基、中音域から高域を担当するカスタムBAドライバーを8基、中高域から超高域を補完する平面駆動ドライバーを4基搭載した、片側13ドライバーのトライブリッド構成です。10mmダイナミックドライバーが深さと物理的な存在感を持つ低域を、8基のBAドライバーがボーカルや楽器の細かな質感とレイヤーを描き、4基の平面駆動ドライバーが高速な応答と低歪み、明瞭で伸びやかな高域を加えます。

シェルには、天然木材へ樹脂を浸透させて強度と安定性を高めたスタビライズドウッドを採用。「Supremacy」と共通するセミカスタム形状を踏襲しつつ、グリーン、パープル、ブラウン系の複雑な色彩とゴールドの縁取りによって、「GRAND ORIVETI Eminency」独自の外観に仕上げられています。天然素材を使用しているため、木目や色の混ざり方は個体ごとに異なり、それぞれが異なる表情を持つのも特徴です。

GRAND ORIVETI EminencyGRAND ORIVETI Eminency

付属ケーブルは、OCC銅線と銀メッキOCC線を組み合わせた「Grand Affinity Cable」が付属。入力側には4.4mmバランスプラグ、イヤホン側には0.78mm 2pinコネクターを採用しています。

GRAND ORIVETI Eminency」のORIVETI公式ストア価格は1,299ドル、国内正規品の希望小売価格は220,000円(税込み)となっています。

ORIVETI公式ストア: GRAND ORIVETI Eminency


楽天市場(国内正規品): GRAND ORIVETI Eminency


免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして ORIVETI より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。


■ パッケージ構成、製品の外観および内容について

というわけで「GRAND ORIVETI Eminency」です。1200ドルオーバー、20万円超の高級モデルということもあって、まずパッケージの大きさに圧倒されます。オレンジ系の厚みのあるボックスは、ブラックのラインとGrand Orivetiのロゴを配置した、クラシカルなレコードジャケットを思わせるデザイン。さらに外装の内部には「Grand Oriveti」のロゴを型押ししたブラウンの本革調プレゼンテーションボックスが収納されており、なかなか圧倒的な豪華構成となっています。
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プレゼンテーションボックスの内部は複数の区画に分けられ、イヤホン本体、Grand Affinity Cable、本革製ケース、イヤーピースなどのアクセサリーが、それぞれ専用のスペースに収納されています。
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パッケージ内容は、イヤホン本体、Grand Affinity Cable、4種類のイヤーピース、コンパクトタイプと4分割タイプの本革製ケース2種類です。
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イヤホン本体はスタビライズドウッドによるグリーンやパープル、ブラウンの複雑な模様が印象的な木製シェル。フェイス部分にはゴールドの縁取りとGrand Orivetiのシンボルマークを配置し、反対側にはブランド名を記載した左右非対称のデザインとなっています。片側13基のドライバーを収納するため、一般的なイヤホンと比べると結構大型です。
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ノズルは金属製で、イヤーピースを固定するための段差を備えています。シェル自体はやや大きいものの、内側は耳介に沿う立体的な形状となっており、重量を広い面で支えることで装着時の安定性を高めています。シェル側面にはダイナミックドライバー用の金属製ベントを配置しています。
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付属する「Grand Affinity Cable」は、OCC銅線と銀メッキOCC線を組み合わせた太めの編み込みケーブルです。耳元側は透明被膜、分岐から入力側はブラックの繊維被膜で仕上げられ、プラグ、分岐部、2pinコネクターには本体の意匠に合わせたゴールド系の金属パーツを採用しています。プラグは4.4mmバランス専用です。
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イヤーピースはシリコンおよびフォームタイプを含む4種類が付属し、それぞれS/M/Lの3サイズ、合計12ペアが用意されています。ケースはイヤホンを手軽に携帯できるコンパクトタイプと、イヤホンやケーブル、アクセサリーを分けて収納できる4分割タイプの2種類で、どちらも内側に柔らかな素材を使用した本革製です。


■ サウンドインプレッション

GRAND ORIVETI EminencyGRAND ORIVETI Eminency」の音質傾向は、厚みと深さのある低域、明瞭で自然な中音域、伸びやかで存在感のある高域を組み合わせた、ニュートラルを基調に緩やかなカーブを描くU字寄りの傾向です。低域は十分な量感を持ちつつ、自然な温かみを持った中低域により癖の無い印象で鳴らしつつ、平面駆動ドライバーによる明るく見通しの良い高域の伸びにより明瞭感と締まりのある印象で再生されます。
片側13基という多ドラ構成ながらドライバーの共鳴による響きや誇張は無く、まとまりのある音色と非常に滑らかなクロスオーバー制御によって、広い空間表現と実在感のあるバランスの良さを感じます。

インピーダンス 11Ω、感度 109±3dB/mWで、比較的反応は良い印象ですが、4基の平面駆動ドライバーを含むこれだけのドライバーをしっかり駆動させるためには相応の再生環境が求められます。また出力インピーダンスやノイズフロアの影響を受けやすい可能性があるためS/N性能も求められます。まあ価格相応の環境で、となるのですが、最近では10万円前後の(ミドルグレード級の)DAPでも十分な駆動力とノイズ特性を持っているため、再生環境は選びやすくなっていますね。

GRAND ORIVETI EminencyGRAND ORIVETI Eminency」の高域は4基の平面駆動ドライバーによる明るく伸びやかな音色で再生されます。ハイハットなどのシンバル音は輪郭が明瞭で、細かな余韻や倍音を伴いながら、上方向へ綺麗に伸びていきます。素早い応答と低歪み感があり、音数の多い場面でも高域が埋もれにくく、繊細な響きや空気感を明瞭に描きます。
印象としては平面駆動らしい輪郭の正確さやスピード感を備えつつ、ESTを思わせる軽やかさや滑らかさも感じさせますね。ただESTのようなちょっと癖のある線が細く硬質な印象とは異なり、密度感を保ちながら伸びることで自然な音色を維持しているようです。明るさと情報量をかんじる高音ですが、刺激などはコントロールされており、ハイグレード機らしい自然な質感の良さや伸びやかさを楽しめる高域です。

中音域はニュートラルで癖の無い音を凹むことなく明瞭に鳴らします。8基のBAドライバーは籠もること無くスッキリとした印象で再生され、高い情報量を備えながら輪郭を際立たせることなく自然な音像を維持しています。そのため細かな音の表現も人工的な印象にならず綺麗に分離し、ボーカルや楽器の音像に適度な厚みを感じさせます。
GRAND ORIVETI Eminencyボーカルは広い演奏空間の中央からやや近い位置へ定位し、演奏との分離も明確です。女性ボーカルはU字寄りの適度なアクセントのある中高域によって透明感と伸びやかさがあり、息遣いや声の細かな変化も確認しやすい印象。男性ボーカルは低域側の厚みによって淡泊にならず、自然な実在感があります。超多ドラ機にありがちな過度の濃密な演出とはことなり、非常に自然なクロスオーバー処理で見通しの良さの滑らかさがあり、輪郭の捉えやすさと豊かな質感を両立しており、ボーカル主体の音源でも自然な定位で演奏もしっかり実感出来ます。
音場は左右方向へ広く、さらに前後方向にも複数のレイヤー感のある立体的な表現を実感出来ます。ボーカルは少し前傾して配置されますが、演奏はその周囲から後方へ広がり、音像同士の距離を自然に描写しす。広い空間の中へ音像を豊かさを楽しめます。

GRAND ORIVETI Eminency低域は10mm複合振動板ダイナミックドライバーによる厚みと、深い沈み込みを備えています。重低音は低い位置からしっかりと立ち上がり、音楽全体へどっしりとした土台とスケール感を加えます。中低音にも適度な量感とパンチがあり、バスドラムやベースは音の芯だけでなく、周囲の空気を動かすような存在感を伴います。
バランスとしてはニュートラル方向ですが、モニター的な低音の表現とは異なり、自然な締まりとともに適度な響きや豊かさあるため、キレより余韻を楽しむリスニング的な音作りです。それでもミッドベースの分離は良好で、ウォームになりすぎず、中高域を覆うほど膨らむことはなく、自然なバランスで、深さや重量感、質感を感じさせます。


■ まとめ

というわけで、「GRAND ORIVETI Eminency」は、1200ドル超、20万円超のハイエンドらしい質感および付属品と、厳選したドライバーをふんだんに使用し入念に作り込まれた印象の質の高さを感じる文字通り「高級」なサウンドでした。

GRAND ORIVETI Eminencyスタビライズウッドによる天然素材ならではの美しい外観や豪華なケース、太さと重量感のある「Grand Affinity Cable」を含むパッケージも非常に満足度の高い仕上がりです。音質面では、厚みと深さのある低域、明瞭かつ自然な音像表現で広い音場で再生される中音域、質感を維持しつつ伸びやかで美しい高域をバランス良く組み合わせています。
オーケストラやライブ音源では左右の広がりや会場の奥行きを感じやすく、ジャズでは各楽器の位置と響きを立体的に楽しめます。ロックやEDMなどでも、低域の物理的な存在感と高域の明瞭さが両立し、複雑な演奏でも見通しを保ちます。

1200ドル超、国内価格は220,000円のハイグレード製品ですが、「Grand Oriveti」としてのクラフトマンシップと、片側13基の大規模なドライバー構成を、過度に誇張せず音楽的にまとめた魅力的な仕上がりのイヤホン製品だと感じました。個人的にも結構好きな印象です。